商業施設新聞
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No.716

梅雨


松本 顕介

2019/7/30

連続猛暑日が懐かしと思ってしまうほど雨が続く
連続猛暑日が懐かしと
思ってしまうほど雨が続く
 長雨と梅雨寒にたたれた今年の梅雨シーズン。昨年、わりとあっけなく梅雨が明けた反動からか、今季は長いなあと感じざるを得ない。また、例年なら梅雨の晴れ間があるが、今年はずっと雨、しとしと切れ目がない。それもそのはずで、気象庁によれば、東京都心は7月16日まで20日連続で日照時間が3時間未満となった。1988年の17日連続記録を塗り替え、61年の統計開始以来、過去最長だったという。

 今年は海の日が例年より早かったが、あいにく少日照時間記録更新の真っ只中。テレビのニュースは、豊島園のプールに遊びに来たが、あまりの寒さに震えている子どもの様子を伝えていた。自分は、どこかに出かけようと思っていたが雨にたたられて気分が乗らず、外出をやめたことによる無駄な出費を抑えられて、家にいたものだから溜まった原稿を処理したくらいか。だが、モヤモヤは晴れない。

 この長雨は様々なところに弊害が出てきており、海やプールでは客数が減少しているし、さらには日照不足による野菜の生育に影響を及ぼし、価格の高騰を招いている。スーパーの青果売り場を覗いても、日照不足でなんだか元気のない野菜のように見える。思い出されるのは、93年も長雨と日照不足で、米の収穫量が低下し、米騒動を招いたことだ。確か翌年は一転、水不足に悩まされた。

 今年は梅雨前線がずっと居座り、早くも大雨の影響で「記録的短時間大雨情報」が九州北部を中心に発令されている。大雨による洪水は台風時期と重なることが多いが、台風シーズンを待たずに最近は7月、早ければ6月に出されることがある。地盤の緩みや決壊した堤防などの修復が済んでいなければ、今後の台風シーズンは注意が必要だろう。

 この長梅雨は流通小売にも影響を及ぼしている。前述の青果に影響が出ているほか、清涼飲料水などの売り上げが芳しくない。先日出席したある企業の第1四半期の決算説明会の席で、司会の広報担当が質疑応答の際、出席者数と質問の少なさに対しこう述べた。「今日は天候も悪いですし、ご参加された人数もいつもの半分以下ですね。たまたま当社の業績がまずまずだったので、みなさんあまり興味がないようですね」と皮肉を飛ばすも湿りがちだった。

 この原稿を書いているのが22日。湿っているせいか我ながらハリのない文章だ。今週、いよいよ梅雨明け宣言が出される見通し。しとしと、じめじめから解放されるかと思うと嬉しい。ビアガーデンなどは、しっかり晴れてもらわないと消費に影響する。ただ、「7日連続猛暑日の見通しです」なんて天気予報で言われると、あぁ雨寒が懐かしいなんて言っているかも。勝手なものである。
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