(株)レナテック(神奈川県伊勢原市高森4-19-15、Tel.0463-92-6114)は、これまで「光触媒脱臭機」と「半導体関連」の2つの事業を軸に展開してきた。最近では5年後、10年後を見据えた新たな事業へのチャレンジも行っている。その最大のものは、わずか6mLの血液でがんのリスクが判定できる「メタロ・バランス(MB)がんリスクスクリーニング検査」という事業である。代表取締役を務める加藤桂さんに話を伺った。
―― 高知県のお生まれですね。
加藤 坂本龍馬で知られる高知で生まれましたが、私の名前の桂は名所の桂浜から取られたものです。父は国家公務員であったために、転勤が多かったです。
高校は大阪府の四条畷学園を出て、京都の華頂短期大学に進み、家政学を学びました。これは知恩院の境内にある学校で、とても落ち着いた雰囲気で勉強することができました。
―― 野村マイクロサイエンスに入社されますね。
加藤 半導体向け超純水製造装置で、大手3社の一角にある野村マイクロサイエンスには2回入社しています。大学を出てすぐは半導体商社のダイトロンの大阪本社に3年いました。その後、縁があって野村マイクロサイエンスの大阪営業所へ1回目の入社を果たします。
それからかなりの年月を経て2回目の入社となるのですが、その頃に新会社を作ろうという動きがあって、レナテック設立に参画することになります。
―― レナテックは当初半導体や液晶分野での仕事がベースでしたね。
加藤 そのとおりです。1987年に設立されましたが、ウエハー金属分析前処理、さらにはレジスト剥離剤や帯電防止剤などの半導体/液晶関連で基礎を築きました。
2006年には光触媒除菌脱臭機を開発し、ほぼ60億円クラスの仕事を受注することになります。これは武田薬品工業の湘南研究所向けに設置され、当時世界最大級でした。
―― 現在のがんスクリーニング事業については。
加藤 これは経済産業省の平成28年度戦略的基盤技術高度化支援事業の1つに採択されました。国からの支援を受けて、がんスクリーニングの研究を千葉県がんセンター、神奈川県立がんセンターと共同で進めてきました。血液中の微量元素を測定し、そのパターンの変化から、がんのリスクスクリーニングが可能な方法を「メタロ・バランス検査」を発明しました。
半導体の金属分析技術を横展開したものであり、世界特許も取得しています。
―― ローコストでできる検査ですね。
加藤 わずか6mLの採血で胃がん、大腸がん、肺がん、すい臓がん、肝臓がん、さらには女性の乳がん、卵巣がん、子宮体がん、子宮頸がん、男性の前立腺がんも相当の確率でがんリスクを判定できます。費用はたったの1万円です。神奈川県の横浜市と伊勢原市と小田原市、千葉市、大阪市、福岡市、滋賀県大津市、名古屋市などの指定クリニックで、この検査は実施できます。1人でも多くの方にこの検査を受けていただき、早期発見、早期治療につなげたいと思います。
―― お忙しい毎日ですが、ストレス解消の手段は。
加藤 私はファッションが大好きです。人と同じものはイヤという性格なので、時間ができるとショッピング周りに出かけます。仕事上はスーツというのが一般的ですが、もう少し自由度があっても良いのではないかと個人的には思っています。
もちろんTPOのわきまえは必要ですが。赤、ピンク、黄色、オレンジなどの鮮烈な色に魅かれます。そのような色を取り入れることも多いです。
―― よく読む媒体は。
加藤 日常的には朝日新聞、読売新聞を読みます。雑誌は『CLASSY』『家庭画報』などがお好みです。
一番好きな作家は東野圭吾さんで、ほとんど読んでいます。司馬遼太郎さんはとても尊敬しているのですが、いつも読み始めては挫折して途中で終わってしまいます。
―― 恋愛観については。
加藤 ありきたりではありますが、優しい人、思いやりのある人がいいですね。加えて、仕事ができる人が素敵ですね。仕事にスピリッツを燃やす人が魅力的に感じます。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2019年7月4日号5面 掲載)