商業施設新聞
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No.709

博多の街の変化


永松 茂和

2019/6/11

 つい先日、所用を兼ねて福岡の博多に行ってきた。今年に入ってから2回目となるが、改めて博多の街の変化を実感する。JR博多駅近くに昔からあった博多スターレーンというボウリング場が3月末で閉店した。この施設はボウリングだけでなくプロレスの興行が数多く行われ、プロレスファンの間では「西の聖地」と言われており、惜しまれながらの閉店となった。1972年に開業し、建築後50年近くになるため老朽化には勝てなかったと見られるが、博多で生まれ育った自分にとっては別の意味で感慨深いものがある。

 開業当初、駅周辺にビルがそれほど林立していなかったころ、博多スターレーンは家へ向かう際のランドマーク的な存在で、馴染みが深かったぶん、悲しい気分にさせられる。今では、のどかな雰囲気はなくなり、博多駅周辺の状況も一変した。博多駅から直通で福岡空港に行ける福岡市地下鉄、福岡都市高速の開通など夢にも思わなかったものである。最近ではインバウンド需要の拡大、新幹線の延伸などにより、福岡市への一極集中がさらに進んでいる。

 福岡市は、岩田屋や大丸、三越などの百貨店があり、商業の中心である天神が拠点の西鉄と、博多を拠点とするJRグループの開発競争の場ともいえる。天神エリアでは、西鉄による大規模再開発の天神ビッグバンが始動し、数棟のビルを一気に建て替える。一方で博多エリアは、地下鉄の延伸計画、容積率緩和による駅ビルのJR博多シティ拡張計画などがある。さらに2020年3月までに約30棟のホテルが計画されるなど、今後の街の変化は楽しみでもある。

5月末に閉店した斬新なデザインのハイアットリージェンシー福岡
5月末に閉店した斬新なデザインの
ハイアットリージェンシー福岡
 そのホテルであるが、今回は博多駅筑紫口から歩いて少し距離のある「ハイアットリージェンシー福岡」に連泊した。というのも、同ホテルは世界的に著名な建築家であるマイケル・グレイヴスが設計した高級ホテルであり、円形でグリーンの外観デザインが何よりも大胆で斬新で、なぜか引き寄せられる魅力を持つ建物だからだ。

 そのハイアットリージェンシー福岡が5月末に閉店することになり、あわてて予約を取ったのである。円のフォルムが特徴のチャペルでは、宿泊した日に3組程度の結婚式があり、閉店に合わせて記念に式を挙げたと思われる。同ホテルは、5月のハイアット・インターナショナル・コーポレーションとの契約満了に伴い閉店するもので、改装工事を行い、今年冬に全く新しいコンセプトのもと「プレミアム宿泊特化型」の自社オリジナルブランドホテルとしてリブランドオープンすると聞き、建物自体はそのまま残すというから一安心した。

 同ホテル周辺では、博多スターレーンの建て替え、合同庁舎の再整備など今後も開発が積極的に行われる計画だ。今年から来年にかけても博多へは数回足を運ぶ計画であるが、その変化に注目したい。
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