商業施設新聞
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No.705

SMとHCの相性


岡田 光

2019/5/14

 これまで郊外で商業施設を取材する時は、「イオンモール」や「ららぽーと」のような大型ショッピングセンターが中心であったが、最近はNSC(ネイバーフッドショッピングセンター)を取材する機会も増えた。今春は2月に「フレンドタウン交野」(大阪府交野市)、4月に「LCワールド本巣」(岐阜県本巣市)と「アクロスプラザ八尾」(大阪府八尾市)を取材したが、いずれも特徴のあるNSCで、今後の飛躍が大いに期待されるものばかりだ。とりわけ、フレンドタウン交野はスーパーマーケット(SM)の「フレンドマート交野店」と、ホームセンター(HC)の「カインズ交野店」が隣接して出店するNSCであり、個人的にも同施設の行く末を注目している。

SMとHCが隣接する「フレンドタウン交野」
SMとHCが隣接する「フレンドタウン交野」
 そもそも、SMは主に郊外で出店を続けてきたが、コンビニエンスストア(CVS)やドラッグストア(DgS)の増加に伴い、新規出店のスピードが減速。その対抗策として、駅前や繁華街に小型店を出店したものの、これらの場所では家賃が高過ぎて思うように展開できない。HCも同様の傾向が見られる。これまで郊外を中心に大型店を出店してきたが、同業他社だけでなく、DgSといった異業種との競争も激しいため、思いどおりに売り上げを伸ばせていない。SMのように、都心への出店を試みようとするものの、「ニトリ」を中心に家具やインテリア雑貨を取り扱う店舗がひしめき合っており、HCとしての優位性を打ち出すのが難しい状況だ。こうしたことから、HC各社の都心進出は、なかなか進まないのである。

4月に開店した「ホームセンターコーナン西本町店」
4月に開店した
「ホームセンターコーナン西本町店」
 SMとHC、この互いに苦しむ両者が手を結ぶと、どのような相乗効果が生まれるのか。そのひとつとして買い回りの向上が挙げられる。近年、SM各社は生鮮三品や惣菜などの食料品に特化して出店するケースが目立つが、これでは、衣料品や日用品を別の店舗で買う必要に迫られる。「イオンモール」や「ららぽーと」のような大型SCであれば、このような不便さはないが、食料品に特化するSMでは、これが大きな課題としてのしかかる。「SMに衣料品や日用品を取り扱うテナントを誘致すれば、それで解決するだろう」という意見もあると思うが、衣料品各社は苦戦が続いており、郊外まで目を向けられない現状もある。日用品を取り扱うディスカウントストアやDgSも食料品の構成比を高めており、下手をすると、食料品を互いに奪い合う結果にしかつながらないとも思う。そこで、SMと商材が被らず、かつワンストップ・ショッピングを実現するビジネスパートナーとして、HCが選ばれていることが考えられる。

 実際、4月に大阪市西区でSMとHCが隣り合う「ホームセンターコーナン西本町店」と「ミニエル西本町店」の様子を視察した。ホームセンターコーナン西本町店は都心型店舗のモデル店、ミニエル西本町店は新業態店という位置づけであるが、コーナンは外売り場がなく、木材や建材も置いていないので、一見するとHCとは思えない。ミニエルも生鮮三品を置かず、弁当や総菜に特化しており、こちらもSMと見るのは難しい。SMとHCの境目がないため、「コーナン商事がSMを始めたわ」と勘違いする人もいるだろう。だが、両店の顧客の流れを見ていると、コーナンに立ち寄った顧客がミニエルに、ミニエルに立ち寄った顧客がコーナンにも足を運んでいた。例えば、コーナンで文房具を購入した30代とおぼしきOLが、そのついでにミニエルでランチの弁当を買うといった具合に。“買い回りの向上”と一言で言えば簡単だが、それを実現するのは非常に難しい時代でもある。両社の挑戦にエールを送りたい。
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