電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第322回

(株)SCREENセミコンダクター ソリューションズ 代表取締役 社長執行役員 後藤正人氏


ハイエンドとローエンドの両面作戦
彦根新工場を基本モデルのマザー工場に

2019/5/10

(株)SCREENセミコンダクター ソリューションズ 代表取締役 社長執行役員 後藤正人氏
 SCREENグループの中核を形成する(株)SCREENセミコンダクターソリューションズ(京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1-1)は、世界でも上位にランクされる半導体製造装置カンパニーである。世界トップシェアを持つ洗浄装置の技術はお家芸ともいうべきものであり、常に世界をリードする技術力と量産力を兼ね備えている。先ごろ代表取締役 社長執行役員に就任した後藤正人氏に話を伺った。

―― 京都の大手企業で活躍されていますが、お生まれは東京ですね。
 後藤 東京都三鷹市の出身で、都立調布南高校を出て明治大学工学部に進んだ。父は職人で典型的な昭和のオヤジであったが、モノづくりにこだわる職人根性を子供心にも教えてもらったと思う。最初に就職したのは三谷電子工業で、フォトマスク関連の仕事を4年間経験した。1990年に当時の大日本スクリーン製造に入社したが、枚葉洗浄に携わり、その後も洗浄分野一筋の会社人生を送ることになる。

―― 新社長に就任されましたが、幹部、部下に対して示唆したことは。
 後藤 一人ひとりの仕事の量と質を高めることが一番大切なことだと話している。昨年は半導体設備投資の一気高揚もあって忙殺されたが、今は冷静に自分たちの仕事を見つめ直すことができるいいチャンスと考えている。

―― 革新的自動化を断行した彦根の新工場「S3(エス・キューブ)」が立ち上がりましたね。
 後藤 免震構造を採用し、お客さまへの信頼感を高めることができた。立体自動倉庫も備えており、組立前の準備工程である部品選別については自動化を図った。今後は一部の工程についてロボット化も検討中だ。AIも導入する計画がある。この新工場を基本モデルのマザー工場として、国内外でグローバル展開していく必要がある。投資額は約100億円。スケールは延べ1万2458m²となっている。

―― 半導体製造装置をめぐる市況が厳しくなっています。
 後藤 確かに年末までの市況は厳しいとみている。しかしながら当社は、メモリー比率が低く、ロジック比率が高い。ロジックメーカーが好調であり、ロジック市場も上昇してきているため、それほど大きな落ち込みはないとみている。

―― IoT時代を迎えてハイエンドとローエンドの両方が重要になってきましたね。
 後藤 そのとおりだ。ハイエンド領域については、最先端の5nmにも合わせ込むだけの技術力に磨きをかけている。また洗浄などのプロセスの差別化に注力している。次世代露光のEUVでは再び微細化技術が注目されており、当社にとってはありがたいことだ。
 ただ一方で、ローエンド領域も重要であり、200mm以下のサイズ・形状・基板に合わせ込む「IoTデバイス対応装置」のラインアップを充実させている。パワーデバイス、各種センサーなどにおいて、ローエンドはさらに伸びてくる勢いがあると判断しているからだ。
 洗浄以外の分野で強化すべきことは、コーターデベロッパーである。ハイエンドのロジックベースをターゲットに受注増を狙いたい。熱処理については参入間もない分野であるが、これも伸ばしていきたい。その他では計測分野なども強化していく。

―― 女性力強化については。
 後藤 SCREENグループ全体で6000人弱の人員を擁しているが、女性比率はまだまだ低い。女性の部長、課長は存在しているが、もっともっと女性管理職を増やしていきたいと思う。もちろん、機械設計やプロセス・制御技術などの女性エンジニアも積極的に採用していく考えだ。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2019年5月9日号1面 掲載)

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