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第315回

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株) 執行役員 熊本TEC長 慶児幸秀氏


イメージセンサーの能力増強
センサー使いIoT生産方式導入

2019/3/15

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株) 執行役員 熊本TEC長 慶児幸秀氏
 ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株)(熊本県菊池郡菊陽町大字原水4000-1、Tel.096-292-6111)は、ソニー初の300mmウエハーラインを設置した工場であり、2001年秋に1号棟が立ち上がった。その後増強を重ね、ソニーのお家芸とも言うべきCMOSイメージセンサーをはじめ、ディスプレーデバイスを生産する一大拠点へと発展している。16年4月の熊本地震で大きな被害を受けたが、現状では見事に復旧し、フル稼働を続けている。熊本TEC長の慶児幸秀氏に話を伺った。

―― 慶児さんは鹿児島のご出身ですね。
 慶児 高校まで鹿児島にいて関東の大学に進み、物質工学を学んだ。卒論のテーマは「半導体に使用されるエポキシ樹脂の放熱改善」だった。卒業後は縁あって地元に戻り、ソニー国分セミコンダクタ(現在の鹿児島テクノロジーセンター)に入社してからは、ずっとイメージセンサーに携わってきた。鹿児島と熊本を行き来する期間が長くあったが、長崎でCMOSイメージセンサーを勉強してから熊本に戻り、16年に執行役員を拝命し、18年6月から熊本TEC長を兼務している。

―― 熊本地震から完全復興しましたね。
 慶児 熊本地震では大きな打撃を受けたが、幸いにも人災は全くなかった。被災後なんとか3カ月でラインを復旧したが、これも従業員一丸となって取り組んだことに加え、何より私どもの製品を待っていてくださるお客さまのご理解とご協力、そして多くの温かい励ましのお言葉やサポートをいただけたからこそだと深く感謝している。さらに、この取り組みを通じて生産性が10%以上改善し、災い転じて福となす、こともできた。

―― フル稼働が続きますね。
 慶児 おかげさまで作っても作っても足りない状況で、CMOSイメージセンサーの生産能力を300mmウエハー換算で現在の月産10万枚から13万枚まで増強する設備投資を開始している。ソニーとして第3次中期期間においてトータル6000億円の設備投資を予定しており、その一環だ。ありがたいことに、CMOSイメージセンサーは数量の出るスマートフォン向けに加え、監視カメラやミラーレスを含めたデジタルカメラなどに多く採用されている。ちなみにミラーレス一眼カメラについては、多くの強豪を押さえて、ソニーは世界トップシェアになっている。今後は車載向けやIoT生産向けも需要が期待できると考えている。

―― IoT生産方式導入を考えていますね。
 慶児 生産設備に各種センサーをつけ、そこで捉えた情報をAIに判断させる実証実験を一部で始めている。6軸センサー、圧力センサー、熱センサー、エミッションなども採用し、AIとセンサーで動かすというプロセスを考えている。

―― 今後の生産増強は。
 慶児 熊本テクノロジーセンター(敷地26万6000m²、建屋延べ床19万8000m²)では現在、2号棟6階にあるウエハー工程の増強を進めており、これに伴ってエネルギー棟の新設工事も手がけている。イメージセンサーの生産数量を月産13万枚まで増強する計画の一環で、こうした施策によって熊本を含む当社の既存建屋においてイメージセンサーの生産能力を3割近く上げていきたいと考えている。

―― 女性力強化も打ち出していますね。
 慶児 熊本テクノロジーセンターには約2900人の従業員がおり、このうちの約1割が女性だ。少数ではあるが、すでに女性の管理職は活躍しており、今後も能力に応じて積極的に登用していきたいと考えている。ありがたいことに、九州大学や熊本大学など九州一円の大学から応募をいただいており、引き続き女性が働きやすい環境づくりを進めていく。

―― 産官学連携については。
 慶児 重視しているし、実りある成果を出していきたいと考えている。リクルートにもつながる。熊本テクノロジーセンターには開発部隊が集まっているので、これからも産官学連携による新たな開発に大きな期待を寄せている。

―― TEC長として従業員に示唆していることは。
 慶児 熊本地震を経験したあとでもあるので、社員の「労働環境」と「安全対策」には力を入れている。ヒトは企業にとってかけがえのない財産であるから、一人ひとりがやりがいを感じて楽しく働ける職場づくりと安全第一の姿勢は最大要件であり、これなくして将来の計画は立てられない。社員を大切にするところからソニーの企業哲学は始まっていると思う。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2019年3月14日号1面 掲載)

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