商業施設新聞
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No.697

イケアが原宿駅前に出店するのは合点がいく


高橋 直也

2019/3/12

「原宿駅前プロジェクト」にイケアが出店する
「原宿駅前プロジェクト」にイケアが出店する
 2018年度、商業施設業界には様々なニュースがあったが、個人的に最も驚いたのはイケアが原宿駅前に出店することだ。NTT都市開発(株)が開発する「原宿駅前プロジェクト」に出店し、20年春にオープンするという。原宿駅前だけあって店舗面積は約2500m²と、イケアとしてはかなりの小型。初めて知ったときは、まさかと思ったが、すぐに納得できた。

 イケアは郊外ロードサイドに大型店を出店し、超広域から集客するビジネスを展開してきた。商品展示の仕方などの魅力的な店づくりに加え、広いフードコートを設けることで、長時間滞在できる店を作り上げた。昨今、各デベロッパーが目指す滞在型施設の走りといえよう。ところが最近、デベロッパーから「イケアが賑わっている」といったポジティブな話がめっきり減った。

 というのも、家具・インテリア市場は、人口が減少していくということもあって、基本的に斜陽産業と言われている。そのため、限られたパイを奪い合い、競争が激化しているのだ。特にニトリが猛烈に出店していることはよく知られている。ニトリは小商圏でも対応できる業態を開発しており、既存店の近接地にも出店することがある。例えば、筆者の自宅から自転車圏内にニトリは3店もある。店を目にする機会は多く、家具を購入するときは、まずニトリが思い浮かぶ。

 ニトリの店舗網の広がりはすさまじく、イケアの近接地にも出店している。例えば東京都立川市のイケア立川は、JR立川駅から歩いていける立地だが、ニトリは立川駅前に出店してしまった。このほか、無印良品など家具・インテリアを販売し、駅前に積極的に出店する業態は多い。そうなると、「イケアと日常的に接する機会がない」という人は増えてしまうだろう。

 そこで、都心駅前立地の出店だ。より消費者と接点を持つことができる立地に店を構えれば、ブランドをアピールする場になる。ただし、原宿駅前はかなり賃料が高い。小型店では単価の高い大型家具は限られる。原宿はフードエリアも設けるため、家具を売るための面積はますます少なくなる。そうなると、駅前という交通量の多さに目をつけて、雑貨など単価の安いものを積極的に販売していくのか。もしくは新製品やイチオシ家具などを積極的に販売し、ショールーム的な店舗になるのかもしれない。

 気になるのは、今後の小型店の展開だ。ショールーム的な意味合いが強いなら、既存店周辺の大都市などへの出店が予想される。具体的には梅田、博多、横浜などか……。いずれにしても「郊外のロードサイド」を主戦場にしていたブランドが、「都心の駅前」に出店するのはこれまでとは真逆の戦略にあたる。この店の成否がイケアの日本展開を左右するだろう。
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