2018年12月、24年に全面開業する山手線の新駅の名前が「高輪ゲートウェイ」に決定したことが大きなニュースとなった。世間では、駅名の選考過程などを問題視する声もあるが、新駅開業は地域や沿線の価値、周辺住民の利便性向上につながるなど、多くの利点が存在する。
一方で、関西に目を転じると、19年はJR西日本エリアの新駅開業ラッシュである。例えば、大阪市内を南北に結ぶおおさか東線は3月16日のダイヤ改正で、おおさか東線北区間(新大阪~放出駅間)を開通し、新たに「南吹田駅」、「JR淡路駅」、「城北公園通駅」、「JR野江駅」を追加するし、JR嵯峨野線の京都駅から丹波口駅の間に梅小路京都西駅が開業する。これに伴い、新駅周辺の開発が進んでいく見通しだ。
「Umekoji Potel KYOTO(梅小路ポテル京都)」の完成イメージ
梅小路京都西駅周辺では、JR西日本グループ系の宿泊施設2施設が計画されている。1つ目は、(株)JR西日本ファーストキャビンが手がける「ファーストキャビンST.京都梅小路RYOKAN」である。地元企業の保養所として活用していた京町家の木造建築をコンバージョンし、宿泊施設に転換した旅館再生型の施設となる。宿泊施設の客室数にあたるキャビン数は57キャビンで、3月28日に開業する。そして、2つ目は20年春開業予定の(株)JR西日本ホロニックの新ホテルブランド「Potel(ポテル)」の第1号店「Umekoji Potel KYOTO(梅小路ポテル京都)」である。計画地はJR西日本の梅小路社宅跡地で、客室数は140室を設け、観光や個人のレジャー利用者をターゲットに集客を図っていくという。梅小路京都西駅周辺には、鉄道博物館や京都水族館などの観光地が多数あるため、JR西日本は宿泊施設を開発していくことで、集客を図っていくもようだ。
3月16日に開通するおおさか東線北区間の新駅「JR淡路駅」駅舎
一方、おおさか東線北区間の4駅周辺では、今のところJR西日本グループから新たな開発計画は出ていない。しかし、3月16日のダイヤ改正で奈良駅から新大阪駅までの直通快速(所要時間約60分)が平日1日4本運行し、かつ放出駅からは約16分で新大阪駅に到着する。通勤などに便利となるため、今後住宅開発などが進んでいくかもしれない。
JR西日本だけでなく、関西私鉄各線においても、新区間や新駅が開業する年はそうそうこないだろう。19年に開業する駅周辺の状況や開発案件を観察しながら、今後の街の変化を認識していきたい。