商業施設新聞
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No.691

簡易ホテルの“質”に注目


今村 香里

2019/1/29

 大阪~京都間の移動であっても、取材などが重なって1日中動くと疲れてしまう。そこで、最近は近距離でもカプセルホテルのような簡易ホテルを事前に予約することが増えた。お酒を飲んで終電で帰宅するような場合も、個人的にはこの方が楽だと感じている。

 最初のうちは、「安くて寝る場所があれば良い」という考えだったが、利用頻度が高くなると簡易ホテルの“質”も考慮するようになる。私にとって簡易ホテルで一番重要なのは、「周りの音が聞こえない」という点で、特に朝起きる時間帯が重要だ。起床時間は宿泊者全員異なるため、ベッドスペースを仕切っているカーテンの音やスーツケースを出す時の音などでも目が覚めてしまう。できるだけ音が気にならない配置や、カーテンの素材にまで気を配っているホテルは評価が高い。

客室はシンプルだが、機能性は抜群
客室はシンプルだが、機能性は抜群
 こうしたなか、ビジネスホテルでもカプセルホテルでもないホテルが近ごろ誕生している。例えば、昨年10月にオープンした「ザ・ポケット ホテル 京都四条烏丸」(147室)は、相鉄ホテルマネジメントの新しいタイプの宿泊特化型で、カプセルホテルよりも高い安全性と遮音性があり、価格帯もビジネスホテルよりリーズナブルという。室内はベッドスペースだけのシンプルな空間だが、荷物を収めるスペースもあり、鍵も閉められる通常のホテルタイプになっており、遮音性は完璧だろう。

広々とした女性用シャワールーム
広々とした女性用シャワールーム
 一方で、チェックイン・チェックアウトはICTを活用した端末でセルフになっているほか、多機能タブレットが客室に設置されているのでホテル内の必要な情報の取得も簡単であり、宿泊者にとって快適でスムーズな環境を整えている。これによりコストも抑えられ、高いといわれる京都の繁華街にありながらもリーズナブルな価格で宿泊を可能としている。通常のビジネスホテルとカプセルホテルの良い所を組み合わせた新しいタイプのホテルだ。

 ほかにも、エントランスにデジタルサイネージを設置し、京都の観光情報なども提供しているので、ただ泊まりたいだけの人にも観光目的で利用する人にも便利である。

 一口に「ホテル」と言っても、現在では様々なタイプがあり、顧客の選択肢が増えていることは良い傾向だと思う。しかし、簡易型ホテルは競合も多く、マンガ喫茶、宿泊サイト、アパート経営者、飲食、アパレルなど異業種からの参入が増えている。東京五輪を見据えたホテル計画は、ほぼ完了しているというが、京都のような人気観光地ではまだまだ需要が高い。人気のエリアでありながら広い土地が確保できない場所では、ホテル事業主の工夫が試されるのではないだろうか。
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