正月の新聞を読んでいると、必ずと言ってよいほど餅を詰まらせて亡くなる老人の記事が飛び込んでくる。おめでたい時に何という亡くなり方をするのであろうと若い頃は思っていたが、もしかしたら自分にもその日がくるのかもしれないと思えてきた。突然のクライシスに備えることができなければ、人はあっさりと死んでしまうものなのだ。
またフグの毒にあたって亡くなる人のニュースもたまに見かける。筆者はフグどころか生魚がすべて嫌いであるからして、フグあたりで泡を吹いて死ぬことはないと思っている。それにしても、下手したら死ぬ可能性まであるというのに、嬉々としてフグを食べる人の気持ちは全く分からない。フグの本場である山口県下関の居酒屋で酒を飲んでいた客の一人がわざわざ除去したフグの毒を持ってこさせ、それをちびちびと舐めていたのには仰天させられた。「ああ指の先がしびれてきて嬉しい、楽しい」と、このクレイジーな客は叫んでいた。
それはともかく、長寿を極めたご老人たちも正月の雑煮で亡くなってしまうのであるから、100年間続いた長寿企業であっても、餅を詰まらせたように即倒れてしまうこともあり得るであろう。ただ、経営クライシスを迎える会社には、それなりの理由があると思えてならない。
北海道を代表する名門企業の雪印は、短期間のうちに不祥事を重ねてクライシスを迎えた。証券業界の老舗である山一証券が倒れた時には、その時の社長は泣きながら、「私らが悪いんであって、社員は悪くありません」と言っていたが、筆者はこれを見ていて「全くそのとおりだ。バカヤロウ」とつぶやいていた。日本の繊維業界を代表するカネボウが倒産した時には「ざまあみろ」との思いでいっぱいであった。なぜなら筆者は何回も取材を申し込んだのであるが、常に上から目線で「お前のようなチンピラ記者が来る会社ではないのよ」と言われ続けたからだ。しかして伝統に甘んじ、全く努力をせず、時代に置いていかれたカネボウの姿は誠に哀れであった。
さて新しい年を迎え、業界最古参記者の泉谷渉はまたも吠えまくりの講演に臨むのであります。テーマは「誰もが知るニッポン100年企業が自ら語る存続と繁栄の哲学!」であり、ニッポンを代表する100年企業の中で注目される100社の技術力、設備力、そして経営戦略を一気に講演する。あわせて、100年企業の東芝および松竹のメンバーとパネルディスカッションを行い、会場との熱い議論の場としていく考えだ。このパネルの司会進行も泉谷渉が担当させていただく。
明治6年創業の日本最古の電機会社“東芝”からは元執行役上席常務(現・東芝トレーディング代表取締役)の長谷川功宏氏を迎え講演をいただくことになっている。長谷川氏は、東芝四日市で勤務された半導体マンであり、今日のフラッシュメモリーブームを引っ張ってきたトップエンジニアであり、旧東芝の幹部であった方だ。
また日本最古の映画会社“松竹”からは元カメラマンの中橋嘉久氏(現在は映像制作・撮影のフリー)が登場する。数々の名監督に仕えた中橋氏が語る松竹の社風、企業戦略、そして多くの女優・俳優たちの裏話は実に関心ある内容なのである。
東芝・松竹を交えてのフリーディスカッションでは日本企業文化論/技術論を徹底的に討論する所存であります。どのようなクライシスも乗り越えてきたニッポンの100年企業に学ぶ良い機会と思われるのであります。
日時は2019年1月24日(木)13:30~18:30。会場は連合会館402会議室(JR御茶ノ水駅、徒歩5分)。参加費は7,000円/1名(ビール・おつまみ付きの交流会含み)。
また会場では、泉谷渉執筆の『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』を半額で特別販売させていただく。奮ってご参加のほど、よろしく願い申し上げます。
詳細はこちらから(http://100-nen.com/pdf/seminar190124.pdf)
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。