(株)Yoki(東京都町田市南大谷1398-2)は、コミュニケーションロボット「HACO」(ハコ)の開発を進める2017年2月設立のスタートアップ企業。ハードウエアの一部やソフトウエアをオープンソースにするなどカスタマイズ性の高さが特徴で、19年からの本格展開を見据えた取り組みを現在進めている。代表取締役CEOの東出風馬氏に話を伺った。
―― まずHACOについて教えて下さい。
東出 両手に乗るサイズの小型のコミュニケーションロボットで、利用者との会話によって、手を動かしたり、目を光らせたりして、コミュニケーションをとることができる。また、そのコミュニケーションのなかで、天気を教えてくれたり、調べ物をしてくれたりする。特徴としては、回路図基板データなど一部ハードウエアやソフトウエアをオープンソースにしており、ユーザーやデベロッパーが自由に開発できる仕様にしていることだ。
―― 注力されている点は。
東出 HACO用の開発環境ツール「HACREW」(ハックリュー)も整備している。ブロックプログラミングとテキストプログラミングをミックスさせた新しい開発環境で、ライブラリーを組み込んだり、外部サービスのAPIを利用でき、HACO用のアプリなどを簡単に作成することができる。初めてプログラミングを行うような人でも直感的にプログラムが組める一方で、高度なプログラミングの知識を持つ人による本格的なアプリ開発にも活用していただける。HACOのリリースと同じタイミングで、HACREWの提供も開始する予定だ。
―― HACOを展開していく分野は。
東出 まずはプログラミング教育用途での活用を計画しており、HACOとHACREWのリリースは19年内を予定している。教育向けの取り組みとしては、サービスロボットの販売、保守、システム開発を行うX-mov JAPAN(株)(兵庫県赤穂市)と6月に業務提携した。同社はソフトバンクロボティクス(株)のPepperを活用したプログラミング事業を展開しており、そのノウハウを活かしてHACOを使ったプログラミング教室の開拓、教材制作、代理販売などを担当している。
―― 資金調達も実施されました。
東出 7月にベンチャーキャピタルのNOW(株)(東京都渋谷区)から出資を得た。調達した資金を活用して製品発売に向けての開発体制を強化しており、まずは先に述べたプログラミング教育向けでの展開を進め、当社ならびにHACOの認知度向上を図っていきながら、BtoC向けの展開も進めていきたい。
―― 今後の市場環境をどのように見ておられますか。
東出 AIなどのテクノロジーの進化により、個人の趣味・嗜好に合った商品やサービスを提供することが増えており、同一規格ものを大量生産・消費していく社会から、一人ひとりに合ったものを提供するパーソナライゼーションされた社会へと変わっていくだろう。
こういった変化のなか、普段の生活において自らの個性を理解し、コンシェルジュとなってくれるようなデバイスは何かと考えたととき、ロボットが最適だと思い、現在のような取り組みを始めた。
当社として、HACOを生活の中で何気なく接する身近な存在として意識してもらえるようなものにしていきたい。
―― そのなかでの貴社の取り組みについて。
東出 パーソナライゼーションされた社会を見据えた取り組みを進める当社では、各個人の環境に合わせて働ける仕組みづくりにも力を入れており、フレックスタイム制やテレワークなどを積極的に進めている。本社は東京にあるが、関西や海外で作業を行うメンバーもいる。
このように様々なスタッフがいつでも世界中どこからでも働けるような環境整備からも、パーソナライゼーションされた社会の構築に向けた取り組みを進めていきたいと思う。
(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2018年12月27日号9面 掲載)