商業施設新聞
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No.687

東京の駅は地方に劣る?


高橋 直也

2018/12/25

 もういくつ寝るとお正月。来年は、故郷で生活した期間と、東京で生活した期間が同じになる。出身地は人口の多い地方都市だが、最近は故郷を訪れると「東京よりも人が少ない」など、ついつい東京基準でものを考えてしまう。すっかり東京人だ。故郷以外でも出張で地方都市を訪れることがあるが、どうしても街の賑わい、ビルの規模、ビルの数が東京より劣っていると感じてしまう。しかし、地方都市に行くたびに「東京も見習わなければ」と思うものがある。駅前広場だ。駅前広場の整備、賑わいは地方都市の方が進んでいると思うのだ。

札幌駅前ではビアガーデンなどが行われる
札幌駅前ではビアガーデンなどが行われる
 代表的なのは福岡・博多駅前だろう。例年、クリスマスが近づくとクリスマスマーケットが開催される。イルミネーションとともに食関連や物販店などが出店する。今年はたまたま開催最初の日曜日に訪れたが、駅前に溢れんばかりの人、人、人だった。東京の駅前でここまで大規模に催し物を行うところはないだろう。ほかの地方都市のターミナル駅でも土地の規模を存分に活かしている。札幌駅前の広場はビアガーデンを開催するし、金沢駅では広場に鼓門といったランドマークを整備するなど、様々な取り組み・整備によって多くの賑わいを生んでいる。

 では、東京の駅はどうか。渋谷駅はハチ公前広場がいつも人であふれているが、同駅のほかのエリアはそれほどでもない。そもそも大きな広場がなく、駅前を出るといきなり車道があり、改札の前や狭い歩道に人が溜まっている。新宿駅もやはり駅前にいきなり車道があり、改札前や歩道に無理やり人が溜まっている。賑わいというより混雑だ。

 以前、鉄道系のデベロッパーに聞いたところ、都内のターミナル駅は車社会に対応するべく整備された駅が多いという。つまり、いかに「車が使いやすいか」を意識して、バス乗り場やタクシー乗り場を優先的に整備した。車全盛の時代は、車基準で駅前を整備するのが正解だったのかもしれないが、いま街づくりに求められているのは、多くの人で賑わう場を創出すること。そして、その賑わいを駅の外に波及させることだ。

 東京駅では2017年12月、丸の内駅前広場がリニューアルした。かつては駅の目の前に大きなロータリーがある典型的な車のための駅前だった。これが、リニューアルによりロータリーを両脇に寄せ、約6500m²の広場を設けたことで人の往来や滞留が生まれ、賑わうようになった。しかし、東京全体でみると、東京駅のように賑わう駅前はごくわずか。地方都市と比べて圧倒的に駅の数が多いのだが……。超高層ビル、高級ホテル、ライフスタイル提案型ショップなど、東京は様々な最先端が揃う。街の拠点となる駅は最先端ではないことが、不思議で仕方ない。
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