商業施設新聞
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No.686

ドッグフードビジネス


松本 顕介

2018/12/18

ペットビジネスは拡大している。写真はアークランドサカモトが横浜市に11月にオープンした新業態2号店「ニコペット横浜瀬谷店」。多彩な生体、病院、ホテル、ドッグランを備える
ペットビジネスは拡大している。
写真はアークランドサカモトが
横浜市に11月にオープンした
新業態2号店「ニコペット横浜瀬谷店」。
多彩な生体、病院、ホテル、ドッグランを備える
 インターネットを利用していると、否応無しに様々な広告が目に飛び込んでくるのは世の常だが、ある時ふと、とある広告が目に留まった。ドッグフードの広告だった。最近よく目にするとは感じていた。イヌを飼うことには縁がないが、憧れがなくはない。飼育に関するサイトを検索してみると、2018年ドッグフードランキングなどが出てくる。この手のものは結構多く、類似サイトを調べてみると、だいたい上位に食い込む常連のドッグフードブランドがあることに気づく。しかも、よくよく見ると、人気のドッグフードブランドはネット販売限定というものも少なくない。すでにイヌを飼われている方には周知の事実かもしれないが、ドッグフードビジネスの巨大さにただ驚くばかりである。それはつまり、ペットビジネスの一部であり、その母体となるペット市場はさらに大きく、小売りの新業態も増えている。


 愛犬家の方からはお叱りを受けるかもしれないが、「エサはご飯と味噌汁のぶっかけメシでいい」と思っていた。しかし、それではイヌに必要な栄養価が足りないだけでなく、塩分過多の恐れがあるという。それならばドッグフードを選択、となるわけだが、中には食べさせてはいけないドッグフードを指摘するサイトも多い。それによると、安価なドッグフードは、消化不良やアレルギーの原因につながる穀類(グルテン)が大量に入っていたり、発がん性のリスクが伴う着色料や、酸化防止剤が配合された商品がほとんどなのだという。

 また、「DEAD」(死亡した動物の肉)、「DISEASED」(病気だった動物の肉)、「DYING」(死にかけだった動物の肉)、「DISABLED」(障害のあった動物の肉)の頭文字を取って「4Dミート」なんていうものもある。こういう類はご法度中のご法度で、さらにはトウモロコシや小麦、コメなどの穀物全般を使用しないグレインフリーや、小麦やライ麦など穀類の胚芽と胚乳の部分から生成されるタンパク質の一種であるグルテンを使わないグルテンフリー、人間が食べられるヒューマングレードがベストなのだという。さらに、「××ミール」や、肉類などのはっきりしない、曖昧な表現がされていたら気をつけた方がよいらしく、明確に「ラム肉」「牛肉」「鶏肉」と表示してあるものが安心だという。ここまで列挙してみて、安全安心、健康への徹底的な配慮やこだわりに驚く。さらにいえば、前述のほかに、鹿、猪、馬、サケといった種類があり、仔犬、成犬、シニア、アレルギー、運動量、犬種の違いによってそれぞれおススメもあるというからこれまた驚きだ。

 こうした条件をクリアしたドッグフードは総じて高価だ。前述のネット販売のみというものも多い。サイトにより、初回割引や初回注文無料、定期購入割引、まとめ買い割引、お試しサービス、継続でキャッシュバックありなどのきめ細かい顧客囲い込み戦略も充実している。一度顧客になればリピートが見込めるからのようで、重量もあるので、同じものならネット購入を誘導しやすいアイテムといえるだろう。

 生活スタイルの変化などから、ペットは以前より、家族の一員という位置づけが高まってきた。ライフスタイルと消費スタイルの変化が融合した21世紀型のビジネスといえそうだ。

 とあるサイトには、ご丁寧に、おすすめドッグフードを生涯食べ続けた場合のコストをシミュレーションしたものが提示してあった。筆者が憧れる大型犬は、なんと1年間42万円。大型犬は小型犬より寿命が短いことが多く、10年と計算すると420万円となる。これに保険やワクチン代、その他雑貨なども含めると500万円以上かかると試算していた。これをみても相当な責任や覚悟がないと、新しい家族を迎えられないということも併せて痛感したのだった。
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