電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第301回

(株)日立ハイテクノロジーズ 執行役常務 電子デバイスシステム事業 統括本部 統括本部長 石和太氏


エッチング、評価装置の二本柱
200mmなどレガシー需要を深耕

2018/11/30

(株)日立ハイテクロノジーズ 執行役常務 電子デバイスシステム事業 統括本部 統括本部長 石和太氏
 (株)日立ハイテクノロジーズ(東京都港区西新橋1-24-14、Tel.03-3504-7111)の半導体製造装置事業は、エッチング装置で構成されるプロセス装置と、CD-SEMを主力とする評価装置の二本柱で展開している。エッチング装置では先端ロジック分野を中心に独自のポジションを築いているほか、CD-SEMに関してはグローバルで圧倒的なシェアを有するなど、個々の製品で強さを発揮している。半導体製造装置事業を統括する石和太氏に現況と今後の事業戦略を伺った。

―― まずはご略歴から教えて下さい。
 石和 日立製作所に1982年に入社し、半導体製造装置の営業を担当していた。当時、日立の半導体製造装置事業はエッチング装置や評価装置だけでなく、EBやレチクル検査、さらにはステッパーなども開発・製品化していた。日立ハイテクのエッチング装置の特徴であるマイクロ波ECR方式は89年に、日立中央研究所の開発成果をベースに笠戸工場が製品化したものだ。これがロジック分野のゲート周辺やAl配線用途に大きく販売を増やし、当社のエッチング装置の礎を築いた。
 その後、01年に日製産業と日立製作所の半導体製造装置グループと計測器グループが合流して日立ハイテクが誕生したのだが、発足当初から私自身も日立ハイテクに転籍するかたちとなった。

―― 半導体製造装置事業の基本戦略は。
 石和 最先端領域に関しては、引き続き顧客の要求に応えるかたちで事業を展開していくことに変わりはないが、現在はこれに加えて、8インチ分野での新製品展開を強化している。

―― 具体的には。
 石和 8インチに関しては、今後もウエハー需要が伸びる見込みで、新製品を投入して需要に応えていく。また、300mmウエハーでありながら、130/90nm世代などの成熟プロセスを用いた分野でも今後、中国を中心に一定の需要が見込めると思っており、展開を強化していきたい。

―― 足元の業績を教えて下さい。
 石和 18年度上期(4~9月)実績における電子デバイスシステム部門の売上収益は802億円となり、前年同期比14%増を記録できた。一方で、ロジック主要顧客の先端プロセスの延伸、メモリー顧客の投資先送りなどもあり、通期売上収益に関しては従来予想の1685億円から1484億円に引き下げた。足元は調整局面となっているが、一時的なものと理解しており、19年以降の半導体製造装置市場においても、それほど悲観視する必要はない。

―― 中期戦略は。
 石和 我々は「Focused Solution」という言葉で表現しているのだが、基本的にはエッチング装置、評価装置の二本柱をベースに“強いところを伸ばす”考えだ。当社はプロセス装置とインラインの評価装置に加え、社内にオフラインで用いる分析装置を取り揃えており、これを1社で保有しているのは世界でも当社だけだと思う。この強みを生かした事業展開をもっと意識していく必要がある。

―― R&D分野への投資は。
 石和 グローバルな開発環境の整備のため積極的にR&D投資を実施している。当社の特徴としては、日立の研究開発部門とタイアップして研究開発を行っている点だ。当社からもエンジニアを研究所に派遣しており、基礎的な開発を中心に進めている。また、アーリーコラボレーションというかたちで、主要顧客と一緒に「生煮えの技術を一緒に開発していく」ということにも力を入れている。例えば、主要顧客の開発拠点の真向かいに当社のエンジニアリングセンターを設立するなど、この部分の投資は惜しまずにやっている。

―― 生産体制の強化は。
 石和 エッチング装置を開発・生産する笠戸地区では、生産方式として「モジュール組立」を導入し、生産リードタイム短縮への取り組みを進めている。また、CD-SEMも那珂工場での生産が逼迫していることもあり、埼玉にある当社グループ会社の工場を活用した生産対応も開始した。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉/副編集長 稲葉雅巳)
(本紙2018年11月29日号12面 掲載)

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