芸術の秋である。美、味、音にまつわる芸術に触れる取材機会を得たので紹介する。最初は美だ。「第58回ミス・インターナショナル世界大会」が開催され、プラチナスポンサーを務めるJTBの本社ビルを、25の国と地域を代表するミスが表敬訪問した。10月下旬の月曜日の早朝だったが、世界中から来た美女の訪問により、取材陣は一気に目が覚めた。色鮮やかな芸術美を大量に浴びたような感覚である。東京開催に当たり、ミスたちは観光庁長官から「ミスVJ(ビジット・ジャパン)観光特使」に任命され、華道や茶道などの日本文化の体験をはじめ、様々な慈善・親善活動のために国内を旅行した。
JTB本社を訪れた世界のミス達
(前列中央は高橋社長)
JTBは、訪日外国人が手ぶらで観光できるように、ICTを駆使したホテルへの手荷物配送サービスや、AIチャットボットのガイド機能による旅行アプリを提供している。これは、ナビタイムジャパン、日本マイクロソフトと共同開発した優れもので、まるで友達、ガイド、専属アシスタントがすぐそばに居るような体験ができ、宿泊・遊びの予約機能、全国の観光情報の提供、独自の観光プラン作成、飲食情報・決済・タクシー・電子チケットなどの便利なサービスを提供する。ミスたちも機能を楽しんでいた。世界大会は11月9日に開催される。日本の旅行支援技術とおもてなしを体験したミスたちが、いかに魅力を増して競演するのか楽しみである。
次は味だ。「東京ラーメンショー2018」が東京の駒沢オリンピック公園で10月25日~11月4日に開催された。今回は10回目を数える記念開催となり、過去9回に出店した計333店から投票で選ばれた店がアンコール出店したほかに、有名店同士のコラボ店など全36ブースを展開しており、「ここでしか食べられないラーメン」が提供された。また、“ちょい呑み”の流行を反映して、「ちょい飲み処 なると亭with GYOZA IT」が出店。夕方から限定で生ビールや酒、つまみが販売され、ちょい飲みから締めのラーメンまで楽しめる粋な趣向が凝らされた。
実行委員会委員長の大崎裕史氏(2万5000杯を食したラーメン評論家)によると、「ラーメンの出汁は鶏や豚でとるのが通常だったが、今回は東京魚介ラーメンショーになった。蟹と海老ばかりだ」と驚くほど、海の幸で出汁をとる店が多く出店した。海老(伊勢海老も)、うに、かに、昆布、のり、煮干し、牡蠣、アサリなど、濃厚な中にも新鮮さを感じる“海のラーメンショー”になったという印象で、日本のラーメンの味は、もはや芸術の域に達していると言ってよい。
東京ラーメンショーの説明会で
気合を入れるChubbinessと、
「蒙古タンメン中本」の白根誠氏(中央)
なお、初の試みとしてラーメンチケットの当日券購入にd払い(NTTドコモ提供のスマホ決済)が利用可能となり、利用者には全額分の「dポイント」が付与され、キャッシュレスの導入が一部で行われた。味だけでなく、機器技術が進歩したラーメンショーの一幕も垣間見えた。
事前に開かれたメディア発表会では、ピコ太郎の姉妹グループ「Chubbiness(ちゃびねす)」がスペシャルサポーターとして現れ、人気の「蒙古タンメン中本」の白根誠氏とともにショーの成功を誓って気合を入れた。
最後は音楽だ。東京の渋谷モディ1階にあるソニーの情報発信拠点「ソニースクエア渋谷プロジェクト」が新装され、リニューアル企画第1弾として、アーティストと共創した実験的な「新たな音楽体験」を実施している。これは、渋谷区観光協会などが主導する産官連携プロジェクト「#スクランブル」の取り組みの中で行うもので、実験的展示「WOW Studio」の一環で実施している。約15台のスピーカーが設置され、立体的で臨場感のある音楽を体験できる。総勢16人が奏でる現代版フィルハーモニック・ポップ・オーケストラ「蓮沼執太フィル」に加えて、11月からはソニー・ミュージックエンタテインメントの次世代ロック研究開発室所属のアーティスト「TOKYO HEALTH CLUB」(トーキョーヘルスクラブ)がソニーの最新オーディオ技術を使って、音楽の無限の可能性に挑戦する。今までに経験できなかったような立体的で臨場感ある音楽体験を楽しむことができる。
ミス・インターナショナル世界大会と東京ラーメンショーは11月上旬までの開催だが、ソニーの新たな音楽体験は12月中旬まで続く。深まる秋に、音楽と先端技術を商業施設内で楽しむのも趣があって良い。