(株)SCREENセミコンダクターソリューションズ(京都市)は、国内半導体製造装置分野におけるトップクラスのカンパニーである。世界トップの折り紙付きである洗浄装置では枚葉式、バッチ式ともに製品ラインアップを拡大している。また、先端半導体メーカー向けのアニール装置にも注力している。最近ではIoT時代に対応した半導体製造装置を「FRONTIERプロジェクト」と命名し、数多くの製品開発を加速している。シリコンだけでなく、SiC、サファイアなどの多様な材料にも対応する一方、積層・高密度が要求されるWLPやFOPLPなどのパッケージ工法にも最適な装置・ソリューションを提供していく考えだ。代表取締役社長執行役員の須原忠浩氏に話を聞いた。
―― 東京生まれの京都育ちですね。
須原 東京都大田区久我原で生まれたが、父は証券カンパニーに務める人であった。度胸が据わっており、その背中を見て育った。同志社大学経済学部を出て当時の大日本スクリーンに入社するが、当時は印刷中心の会社だった。覚えているのは、全社売り上げ600億円のうち半導体部門はわずか20億円しかなく、今日にあって半導体がここまで拡大するとは夢にも思わなかった。
―― SCREENセミコンの製品ラインアップは充実していますね。
須原 枚葉式洗浄装置は世界シェア39%を持ち、No.1のポジションにある。バッチ式洗浄装置でも世界シェア49%を有し、これもNo.1を維持している。ウエハーを物理洗浄するスピンスクラバーに至っては世界シェア69%を獲得させていただいている。
最近の製品ではコンパクトウエットステーション「CW―2000」が電子デバイス産業新聞を発行する産業タイムズ社の「半導体・オブ・ザ・イヤー優秀賞」を受賞した。
―― ここに来て業績も堅調に伸びていますね。
須原 2016年度の売り上げは2060億円、17年度の実績は2271億円となった。
18年度は前年度比14.5%増の2600億円を計画している。上期は予定どおりに来ており、下期に多少の懸念はあるものの、今のところは計画どおり達成できるとみている。
できるだけ早期に3000億円の大台に乗せたいと考えており、研究開発・設備投資に注力している。
―― 主力の彦根工場の拡張を進めていますね。
須原 18年度は130億円の設備投資を実行しているが、彦根の拡充には90億円を投入している。彦根の新棟は5階建て3層造り延べ1万2000m²のスケールであり、免震構造を採用している。ほぼ同時並行で多賀工場の増強も急ピッチで進めている。
―― 今後注力していく製品は。
須原 デバイス特性を改善するアニール装置に期待している。65nmからロジックデバイスで採用が進んできたが、アンモニアガスも使えるため、新たなプロセスへの適用も期待している。今後はメモリーメーカーの採用をどんどん増やしていく。フランスのLASSE社を手に入れたことから、レーザーアニールの製品開発が今後も進んでいくだろう。SiCなど先端のパワーデバイスにも多く使われるとみている。
―― 部下に対していつも示唆していることは。
須原 何といっても、顧客目線でものを考え、顧客のニーズを常に優先するということだ。極端に言えば、社内の上司の意見などはどうでもよい。お客様に対しての納期と品質の保持が社内事情よりも優先する。これは当たり前のことだが、意外と忘れがちになることでもある。
―― IoT生産方式については。
須原 彦根の新工場は先端プロセスの自動化をかなり図っている。村田機械様の協力も得て省人化を進めている。プロセス開発センターにおいては、装置側でプロセスデータやハードデータを取り込み、装置側からソリューションを提供していく。
―― 女性力の活用については。
須原 これは大変重要なことだ。入社4~5年の女性技術者を、提携しているベルギーの研究機関に研究員として出向させるなど、積極的に進めている。女性課長はすでにかなり誕生しているが、今後は部長職、役員における女性の登用も進めていくことになるだろう。いわゆるリケジョの絶対数は少ないが、当社の場合は京都大学、大阪大学などから女性社員の採用が増えてきており、ありがたいことだと思っている。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2018年10月11日号10面 掲載)