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第292回

ジャパンディスプレイ(株) 車載インダストリアルカンパニー 副社長 池上稔氏


22年に車載向け売上高1900億円へ
既存工場フル稼働で茂原でも生産開始

2018/9/28

ジャパンディスプレイ(株) 車載インダストリアルカンパニー 副社長 池上稔氏
 ジャパンディスプレイ(株)の2017年度の車載向けディスプレー売上高は1000億円を超え、22年度に1900億円を目指している。車載インダストリアルカンパニー副社長の池上稔氏に事業展開と市場展望などを伺った。

―― まずは製品構成から伺います。
 池上 現在は(1)クラスター向け、(2)センターインフォメーションディスプレー(CID)、(3)ヘッドアップディスプレー(HUD)、(4)ミラー向けを生産している。(4)は17年末から9.5型の出荷を開始したばかりだ。
 (1)では3.5/5/7/10.3/12.3型を手がける。3.5型がボリュームゾーンだが、メーターとメーターの間がディスプレーであったり、クラスター全体がディスプレーであったりと、色々な大きさが出ている印象だ。
 (2)では4.2/7/8/10.2/15型を手がけている。4.2と7型をメーンに、ここも様々なサイズが混在している。CIDはナビゲーションを中心にアフターマーケット品が減少して純正品が増えており、車載ディスプレー台数の底上げ要因となっている。
 市場で当社が圧倒的なトップシェアを誇るのがHUDだ。1.2/1.8/3型を手がけている。HUDはセキュリティーや安全面で投影させる情報が増えていく傾向にあるため、大型化が進んでいる。

―― 事業展開について。
 池上 車載ディスプレーのメーン拠点である鳥取工場(鳥取県)はフル稼働となり、石川工場(石川県川北町)も稼働率が上がっているため、茂原工場(千葉県)でも19年度から生産を開始する。車載ディスプレーの面積は大型化傾向にあり、茂原の6Gラインがメリットとなる。
 17年度の売上高は1000億円を超えた。年々10%伸長しており、18年度も10%増の1100億円超を見込んでいる。

―― アモルファスシリコン(a―Si)から低温ポリシリコン(LTPS)への移行は進みますか。
 池上 当社は17年からLTPSの出荷を開始した。移行ではなく、LTPSもラインアップに追加されたというイメージだ。車種や搭載する場所にもよるし、車載は従来製品の置き換えが簡単に進む市場ではないためだ。
 LTPSの優位性としては、高精細や高解像度、低消費電力化、大型パネルではドライバー数がa―Siの5分の1程度で済む、などが挙げられる。
 このほか、例えばCIDで高品位なエンターテインメント表示のため高解像度の4Kの採用が始まり、合わせて感度が良いことからインセルタッチセンサーの「ピクセルアイズ」を搭載するようになると、LTPSの技術が必要となる。
 また、クラスターや助手席のダッシュボードに異形状のディスプレーを搭載するならば、LTPSが必須だろう。今後、電気自動車(EV)が増えたり、自動運転化が進めば、低消費電力なLTPSが増えていくだろう。

―― 貴社製品の優位性について。
 池上 当社の車載用ディスプレーには、三洋、松下、エプソン、ソニー、日立、東芝と、日本のディスプレーメーカーの技術が集結している。品質や仕様の良さで長年にわたる信頼や評価を得ており、ここが競合他社との差別化要因にもなっている。
 技術的には、車載品質のLTPS技術をコアとしている。バックライトの消費電力を低減する「ホワイトマジック」や、コントラストを高めて黒色を表現するローカルディミングのほか、グローブを付けたままでも画面操作可能な「ピクセルアイズ」などで差別化を図る。曲面形状や異形状にも対応し、デザインの自由度にも貢献している。

―― 今後の車載ディスプレーの動向について。
 池上 これまで自動車はエンジンが一番の差別化要素だった。しかし、普及が見込まれるEVでは、デザインでの差異化が必須となり、ディスプレーにはインテリアデザインに寄与することが求められる。このため異形状や曲面対応は必須だ。また、自動運転化が進めば、画面はよりフリーに使えることが求められるようになるだろう。

(聞き手・澤登美英子記者)
(本紙2018年9月27日号6面 掲載)

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