2018年上半期、韓国3大コンビニがオープンした店舗数は、前年同期の半分にも及ばないことが分かった。18年に入ってから16年に比べて16.4%アップした時給7530ウォン(約753円)の最低賃金制度が適用されつつ、コンビニの収益性が悪化するという分析から、開店を見送ったところが多かったことが影響を与えた。
韓国流通業界によると、「CU」をはじめ、「GS25」や「セブン-イレブン」など3大コンビニが18年上半期(1~6月)に増やした店舗数は、1007店(純増)を数えた。16年上半期は1679店であったこれら3大コンビニの純増店舗数は、17年上半期には2378店と急増したものの、18年上半期は前年同期の半数以下に転落した。
中でも、18年6月末時点で1万2772店を運営しているGS25の鈍化の幅が最も大きかった。同社は17年上半期に1048店を増やしたが、18年上半期の純増店舗数は343店にとどまった。また、17年上半期に942店を増やしたCUも、18年上半期は394店増にとどまった。競争激化による収益性の悪化に加えて、最低賃金の引き上げが直撃した格好だ。
韓国3大コンビニの18年上半期純増店舗数(1007店)は、当初予想されていた2000店を大きく下回る結果となった。韓国ではコンビニ1店が創出する雇用(アルバイト)は3~4人ということを考えると、出店鈍化で単純に3000~4000人の雇用が消えたことになり、文在寅(ムン・ジェイン)政権が意欲的に取り組んでいる最低賃金の引き上げという庶民政策は、予想外の深刻な展開になりつつある。さらに、19年度の最低賃金の引き上げ率(10.9%)が確定した7月以降は、コンビニの創業市場が麻痺しているほどだ。「予備創業者(オーナー)」の契約放棄が相次ぎ、商談件数も急減している。
こうした最中、コンビニ店主(小商工人)による不満の矛先は、加盟本部に移っている。最低賃金の引き上げによって店の収益が激減する事態に遭遇し、コンビニ店主で構成する団体などは、収益の減少幅について「加盟本部が補填すべきだ」と主張している。また、「19年度の最低賃金の引き上げは、コンビニ業界に大きな影響を及ぼす」とし、「最低賃金の引き上げに伴う取引条件の変更を要求する」という文書を加盟本部に送るなど、コンビニ店主は必死に訴えている。
こうした騒動に伴い、高い数値を誇っていたムン大統領の支持率は、最低賃金の騒ぎの余波で大幅に下落している。世論調査機関が7月16~18日に調査した結果、ムン大統領の支持率は、その1週間前より6.4%減の61.7%となった。依然として60%超の支持率を維持するものの、現状の下落幅は無視できない数値だ。
実際、自営業者らで構成する全国コンビニ加盟店協会、小商工人連合会などは、7月14日に19年度の最低賃金を18年度より820ウォン上がる、時給8350ウォン(約835円)に決定すると、集団的な反発に踏み切っている。
こうした状況が続き、コンビニの出店が滞ってしまうと、韓国経済に与えるダメージは決して少なくないだろう。