福建省商務省主催による投資セミナー「中国(福建)―日本経済協力説明会」が、6月20日に東京都内で開催された。福建省の概況や投資環境などを説明し、広く日本企業からの投資などを呼びかけた。
冒頭で来賓として挨拶した中国大使館経済商務参賛処参事官の景春海氏は、「福建省は著しく発展しており、人材が豊富。中央政府にも福建出身者がたくさんいる。日本でも福建出身者が多く働いている。今回の機会を生かして、より強力な関係を築くことを心から願っている」と語った。
説明会では、まず福建省商務省副巡視員の呉霏氏が福建省の概要や投資環境について説明した。
福建省は台湾の西に位置し、南と北は珠江デルタと長江デルタに連なっている。中国のアジア太平洋地域に対する主な窓口の1つで、中国における対外開放政策を最も早く実施した省の1つである。中国政府に重点的に支援されている地域で、複数の優遇政策を共有するという優位性を持っている。近年は特に中央政府により、「中国(福建)自由貿易試験区」「21世紀海上シルクロード核心区」「平潭綜合実験区」「生態文明試験区」「福州新区」「福州・厦門・泉州国家自主創新モデル区」などに指定され、経済・社会発展の大胆な試みが行われている。
経済も急速に発展しており、17年の全省GDPは3兆2300億元と8.1%の成長。経済総額は全国第10位となっている。
交通網も整備されている。高速鉄道は750kmを超えており省内の各市に通っている。高速道路も5000kmを超えており、各県に通っている。1万t級の船舶の停泊場所が123カ所あり、コンテナの取扱量は5億tを超えている。また、厦門、福州の国際空港をはじめ、6カ所の空港があり国内外200余りの航空路線がある。
産業システムの基盤も整備されている。電子データ、機械設備、石油化学が3大産業となっており、紡績、服飾などの伝統的産業から急速に転換している。
日本との交流も緊密になってきている。福建省にとって日本は5番目の貿易パートナーとなっており、17年の貿易量は98.2億米ドル。18年第1四半期時点での日本からの投資件数は1378件、投資額は27.9億米ドルで、15件が1億米ドル以上の投資。日本企業は投資分野を拡大しており、新エネルギーやサービス業などの新分野でも進出している。
福建省の企業も「海外へ出よう」のスローガンのもと、日本にも積極的に投資しており、日本企業と共に市場を開拓していく方針だ。
呉氏は、福建省と日本の経済協力の発展のため、交流協力の礎をつくりたいとして、(1)企業の交流と貿易の拡大、(2)日本のトップ企業による福建への投資の振興支援、(3)地方レベルの経済交流の開拓、の3点を実施すると表明。「日本企業が福建省を訪れビジネスチャンスを得ることを期待している」と締めくくった。
続いて、三菱UFJ銀行中国室室長の原義信氏が、同社の進出事例を紹介した。同社は1958年に中国銀行と提携。80年に駐在員事務所を設置。07年には現地銀行として登録している。現在中国国内に14の支店を有しており、邦銀最大となっている。16年2月には13番目の支店として福州に支店を設置した。福州市に進出した理由として、GDP成長率や経済規模、日本企業の進出率、整った交通網、オールドエコノミーから電子に変えていく成長性、台湾企業が多く進出しており台湾との貿易が多いことなどを挙げている。福州支店の開設と同日に台湾の高雄にも支店を開設している。
セミナーではその後、三明市商務局と晋江市商務局がプレゼンテーションし、それぞれの市の概要や投資環境などについて説明した。