中国人団体客(遊客)の韓国旅行が一部再開されることによって、韓国免税店業界が活気を取り戻している。こうした中、韓国政府(企画財政省)は、従来5年間で制限されていた大手企業(ロッテをはじめ、新羅、新世界免税店など)による免税店の特許期間を、最大10年まで延長できる内容を骨子とする「免税店制度の改善勧告案」を最終確定した。
新規の特許は、観光客の数と免税店の売り上げが一定水準以上に増加すれば発給できるが、市場状況によって弾力的に運営することにした。この特許は、免税店事業の安定性を強めつつ、大手企業に対する優遇という非難を避けるための折衝案であろう。結果的には、既存特許の大枠を維持する水準であることから、韓国免税店業界では「事業の不確実性を解消するには物足りない改善策だ」と不満げな声もある。
免税店制度改善のためのタスクフォース(TF)は、5月23日、免税店事業者を選定する方法の改善勧告案として「修正特許制」を確定し、政府に報告した。TFは4月の公聴会で「修正特許制」「登録特許制」「部分競売制」などを検討対象に紹介したことがある。民間専門家9人で構成されたTF委員会は、過半数の合意で修正特許案を勧告案として採択したのである。
修正特許制は、特許期間を現状の5年間を維持するものの、大手企業の事業者は1回更新、中小・中堅企業の事業者は2回更新が可能な制度である。特許審査委員会が既存事業計画の独自評価報告書、新規5年間の事業計画書などを精査し、更新可否を審査する。また、修正特許制は、広域地方自治団体別に外来観光客数が前年比30万人強増加し、免税店の3年間平均売上高が10%強増える場合は、新規特許を発給できる内容も盛り込んでいる。
韓国免税店業界では、今回の修正特許制を「根本的な解決策ではない」と反応している。今まで主張してきた事業権の自動更新が受け入れられなかったことに対する失望感であろう。運営期間が5年間延長されるとしても、免税店事業に必要な巨額の初期投資費用を相殺するには力不足だという理由である。
韓国の免税店市場は持続的に成長している。13年の免税店利用客は2958万人だったが、17年は4598万人と急増し、特に売上高は、17年に128億ドルとなり、13年(62億ドル)に比べて2倍以上増加している。主に国内外の観光客を対象に、仁川空港をはじめ、金浦空港、金海空港(釜山)など、主要国際空港では多くの免税店が熾烈な競争を繰り広げている。そして今までは大手企業による免税店事業者が大半を占めていたが、大手企業への優遇という認識を打破するために、韓国政府は様々な政策を試みている。
今回の修正特許制からも見て取れるように、免税店市場の継続的な成長を妨げないよう、大手・中小企業にもバランス良く配慮した形跡が強く映る結果となった。