米国ルイジアナ州経済開発局(LED)主催による「米国ルイジアナ州投資セミナー」が、3月8日に東京都内で開催された。冒頭あいさつしたLED国際商務部エクゼクティブ・ディレクターのラリー・コリンズ氏は「ルイジアナ州でビジネスをすることは容易である」とコメント。日本企業の投資を広く呼びかけた。
セミナーでは、まず日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部米州課 課長代理の中溝丘氏が「日本企業の南東部・南部への投資の現状」のテーマで講演。米国は世界最大の市場であることを強調し、ルイジアナ州を含む米国南東部・南部は労働力の確保、ロジスティクスおよび市場の面から注目を集めていると説明した。
続いてLED長官のドン・ピアソン氏が「ルイジアナ・アドバンテージ」のテーマで講演し、産業奨励策を含むルイジアナ州の事業・投資環境と成長する有望セクターについて説明した。
ルイジアナ州はメキシコ湾に面しており、多くの港を有している。州知事は港湾を強化する方針で、さらに港湾以外の交通インフラも整備する。同州は交通の要衝を集めており、ミシシッピ川の使用などで全米の39の州に水路を使ってアクセスできる。
また、ビジネスコストが低いというメリットもある。労働者の訓練プログラムも有しており、デジタル、情報技術、コンピューターサイエンスにインセンティブを与えている。
米国内でのシェールガスの生産も同州に好影響を与えている。シェールガスの搬出、輸出にはパイプラインが必要となるが、同州にはもともと輸入した天然ガスを配送するためのパイプラインが整備されており、これを活用することで、液化した天然ガスを搬送し、輸出することも可能になっている。メキシコ湾岸の石油産業もある。
シンテック、台塑石化、サソル、ダウ・ケミカルなどが進出しており、積極的な投資を進めている。また、ハネウエルは、ガスを冷凍化して提供しており2億800万ドルの投資を計画。ロッテケミカルは本社をヒューストンから移すことも検討している。このほかにもLNGのセクターでは様々な投資案件が動いている。
ピアソン氏は「皆様にルイジアナでビジネスの花を開かせて欲しいと考えている」と講演を締めくくった。
続いてニューオーリンズ港湾局シニアコマーシャルオフィサーのボビー・ランドリー氏がニューオーリンズ港について説明した。
ニューオーリンズ港は、6つの第1級鉄道、高速道路が入ってきているため、シームレスな物流ソリューションを提供できる。17年には取扱量が50万TEUを突破しており、今後一気に取扱量の増加が見込まれる。新コンテナターミナルやディストリビューションセンターを整備する計画もあり、東南アジア地区からの入港が増えている混載貨物の増加に対応した施設の建設も計画している。
また、ニューオーリンズ港湾局は、1000エーカー以上の工業用地を所有しており、コンテナのパッケージングを行う企業だけでなく製造業なども誘致していく方針だ。
クルーズ船のビジネスも拡大させていく。メキシコなどへのクルーズだけでなく、河川のクルーズも増やす。クルーズ船の寄港を拡張することで、接客産業を拡大させる。
ルイジアナの経験については、まず大陽日酸(株)執行役員 国際事業本部長の小林邦裕氏とマチソントライガス 上級副社長 バルク・オンサイト・パイプライン事業部門のナイジェル・マクマレン氏が共同報告し、大陽日酸の海外事業展開の状況と米国子会社のマチソントライガスの概要などについて説明した。マチソントライガスは、1983年に大陽日酸がマチソンを買収、92年にトライガスを買収し、99年には両社を合併しマチソントライガスとして設立。産業ガスのサプライヤーとして、サソルやロッテケミカルなどにガスを供給している。
続いて、デンカパフォーマンスエラストマー チーフ・エグゼクティブ・オフィサーの田渕浩記氏が報告した。
デンカは2015年にデュポンからクロロプレンゴムのビジネスと設備を買収することでルイジアナ州に進出。クロロプレンゴムは、合成ゴムの中で最も古いゴム。日本では新潟工場で生産していたが、海外輸出が8割以上を占めていたため海外生産を検討し、15年にニューオーリンズから50kmほど西に在り、空港との中間地点に相当するラプラスに進出した。
田渕氏は、同社のビジネスについて説明するとともに、ニューオーリンズ州でのビジネス環境や生活環境などについても説明した。