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No.40

カンボジア投資セミナー、フン・セン首相が基調講演、日本からの投資を呼びかけ


2017/9/26

 日本貿易振興機構(ジェトロ)・日本カンボジア協会主催によるカンボジア投資セミナー「カンボジアの今を知る」が、8月8日に東京都内で開催された。来日したフン・セン首相自ら基調講演を行い、日本からの投資を広く呼びかけた。

フン・セン首相
フン・セン首相
 基調講演でフン・セン首相は、まずカンボジアが日本から受けた1990年代における和平構築、その後のインフラ整備、地雷除去、人材育成、経済境復興と発展などへの支援について感謝の意を述べた。

 カンボジアは、年平均7.7%の経済成長率、年平均3%のインフレ率を維持。国民1人あたりのGDPは1998年当時の253米ドルから、16年には1302米ドルに増加。現在、下位中所得国に位置づけられている。

 カンボジアに対する外国直接投資は、著しく高まっており、特に日本からの投資プロジェクトは1000件以上に達している。カンボジアの近隣諸国に生産拠点を置く日本の大企業が、電気・電子組立、自動車部品組立、その他の先進技術を伴う部品の生産を行い、輸出している。

 これまでの投資の実績を受けて、ミネベアミツミとデンソーが生産を拡大したほか、イオンモールも2号店の開設を決定している。

 カンボジア政府は、カンボジアに対する潜在的な投資の誘致を継続し、その長期的成長を達成するため、第3次四辺形戦略および「2015-2025年カンボジア産業開発政策」を策定。30年までに上位中所得国となることを目標とし、産業の発展のため、(1)外国直接投資と国内民間投資との均衡、(2)中小企業の発展と近代化、(3)規制環境の改善、(4)支援政策の調整という4つの重要戦略の方向性を示しており、すべての投資家にとって、カンボジアにおいて新たな機会の拡大を提供する。

 カンボジアには、(1)ここ20年にわたり年平均7.7%の経済成長率を誇る経済社会発展を達成していること、(2)国内企業と外国企業のいかんを問わず、差別なく、すべての投資に対して経済を開放していること、(3)若い労働人口とその多様性、(4)ASEAN地域の中で戦略的な立地条件を備えており、地理的にアジアの工場となる場所に位置していること、(5)カンボジアで生産された物品はEUからは無関税であり、米国、日本、韓国やオーストラリアなど他の巨大市場でも低い関税率で輸入されることの5つの優位性があるとした。

 フン・セン首相は「カンボジアは悲劇の国ではない。悲しみを乗り越え、民主主義の充実した国になった」と語り、「カンボジアを訪れて、その潜在力と投資機会を探り、さらには投資を決定し、これによって日本政府がこれまでカンボジアに対して行ってきた様々な貢献の成果から最大限の利益を引き出していただくことをここに呼びかけたい」と講演を締めくくった後、参加者からの質問に対し、直接回答した。

 続いて、ジェトロ・プノンペン所長の河野将史氏が「カンボジアの投資環境」のテーマで講演し、日系企業を取り巻く環境などについて説明した。

 三菱商事(株)プノンペン駐在事務所所長の有井淳氏は、「カンボジアに於ける日本人の役割」のテーマで講演し、「理想に向かって、日本人だからできる支援に尽力していただきたい」と語った。

 デンソーインターナショナルアジア(シンガポール)社長、デンソーカンボジア取締役の末松正夫氏は「ASEAN生産戦略とカンボジア事業(タイ+1戦略)」のテーマで講演した。デンソーは、ASEAN地域では、域内生産移管を推進し、域内の成長を加速させている。小さいものは集中生産し、大きいものは各国で生産する方針。タイでは高付加価値製品を日本から移管し、タイで生産していたものをフィリピン、ベトナムに移管している。カンボジアでは、フィリピン、ベトナムからこぼれ落ちたものを生産するのではなく、先を見越して直接タイから移管している。タイでの将来の生産資源リスクを見据え、カンボジア、ミャンマー、ラオスのメコン域の戦略的活用を検討する。

 デンソーカンボジアは13年4月に設立、経済特区内のレンタル工場を活用し、13年7月から生産を開始している。16年2月には自社工場を設立しており、現在179人の従業員で、2輪用発電機、SUSオイルクーラー、ウォッシャーホース、ディーゼルフィルター用レベルスイッチなどを生産している。

 スターツコーポレーション(株)取締役副会長の関戸博也氏は「カンボジアに於けるスターツグループの事業」のテーマで講演し、建設ラッシュが続くプノンペンで、同社が進めているホテルプロジェクトについて説明した。
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