商業施設新聞
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No.364

春の開店ラッシュ


松本 顕介

2012/5/1

 2011年は、アミュプラザ博多、JR大阪駅の商業施設のルクアやJR大阪伊勢丹、あべのキューズモールなど、新設の大型かつ注目の商業施設は関西以西が中心だった。
 一方、首都圏と言えば新設の商業施設が少ないというタマ不足だけではなく、東日本大震災による計画停電などの影響により、3月に開業した二子玉川ライズショッピングセンターでは、マスコミ向けの内覧会は中止となってしまった。
 だが、今年は違う。首都圏・関東は新しい商業施設の花盛りである。

 4月は、新東名高速道路の開通に伴い、中日本エクシスが新たに開発したサービスエリアの商業施設「ネオパーサ」に始まり、三井不動産の「三井アウトレットパーク木更津」や「ダイバーシティ東京プラザ」、東急不動産の「東急プラザ 表参道原宿」とオープンが続いた。イオングループは、スマートシティという新しい街づくりに合わせた「イオンモール船橋」を開業、そして東急電鉄が威信をかけて開発した「渋谷ヒカリエ」のオープンも注目を集めた。
 新しい商業施設はやはり、気持ちがワクワクする。施設のコンセプト、それに基づいてつくった動線やゾーニングなどを確かめていくのが面白い。また時流を見据え、どういうコンセプトで、どのようなテナントが、どういったMDを展開しているのか……。
 発見の連続であり、今のキーワードを探ることにもなる。もっとも、ちゃんとそのメッセージを読み取れているどうかはなんとも言えないが……。

 時代に合わせて設備も進化しており、そのひとつがデジタルサイネージである。単なる“お知らせ”にとどまらず、最近では試着しなくともディスプレイの前に立つと商品を試着した自分の姿が写る。ただ、取材に駆けずり回り、ふと目を上げたときに疲れ果てた自分の姿があったのには興ざめしてしまった。
 喫煙者の身としては、最近、喫煙ルームに注目している。今や喫煙者は2割を切るマイノリティだが、それでもちょっとした演出をしてくれているのはうれしい。改装したルミネ池袋の「イケレス8&9」は絵が飾られていたし、ダイバーシティ東京 プラザは仕切りがなく開放的だ。

 だが、大きな壁にぶち当たることもある。恨み節で申し訳ないが、「最高の女性トイレをつくった」という触れ込みを聞き、“絶対取材するしかない!”と、男所帯の小紙ゆえ、編集部から女性記者の助っ人を仰ぎ、送り込んだものの、大変な混雑で取材はNG。取材が許されたのは放送関係だけだったようだ。
 夜、ニュースでそれを知るという情けなさ。「おいおい、差別するなよう~」と思わず口に出たが、いやいや「ぜひ見てください」と言われるまでに精進しなくてはいけないのだなと痛感した。

 さて、この次はいよいよ東京スカイツリーの東京ソラマチが開業する。ただ、その後にこれといった大型商業施設が少ないのは、新設SCの開発が少ない今の時勢を反映している。

エスカレーター上に設置された万華鏡のようなミラー。買い物気分を高めるそうだ(東急プラザ 表参道原宿)
エスカレーター上に設置された万華鏡のようなミラー。買い物気分を高めるそうだ(東急プラザ 表参道原宿)
ゆったりとした広い館内。敷地内には実物大のガンダム像もあり、遊び心をくすぐる(ダイバーシティ 東京プラザ)
ゆったりとした広い館内。敷地内には実物大のガンダム像もあり、遊び心をくすぐる(ダイバーシティ 東京プラザ)

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