福岡市の観光名物となっている「屋台」の将来像について議論してきた、福岡市の第三者委員会「屋台との共生のあり方研究会」(鳥越俊太郎会長)は2012年4月3日、現行の営業許可「原則一代限り」を見直し、公募制を導入して新規参入を認める提言を高島宗一郎市長に提出した。高島市長は、今後、新しいルールづくりに着手し、13年4月から新制度をスタートさせる運びとなった。
福岡市の屋台は一昔前、歩道の占有、不適切な排水や悪臭、酔っ払いの立ち小便などが問題化した。市は、00年に「屋台指導要綱」を策定して、「営業は原則一代限り」と規定することで、屋台を縮小する方向を打ち出した経緯がある。屋台数は、ピーク時の427軒(1965年)から11年4月時点で156軒まで減っている。
今回の提案は、10年12月に就任した高島市長が、市の資産である屋台を観光資源として、なんとか残せないかということで、有識者で構成する第三者委員会を11年9月に設置。半年かけて、将来的な屋台のあり方について議論し、その結果をまとめたもの。公募制導入のほか、市道占有料など負担の見直しや、模範屋台の指定制度導入などを提言している。
このコラムで、屋台の在り方について言及する気はさらさらないが、筆者は福岡支局勤務で、行きつけの屋台を持つ身であり、筆者なりの屋台考がある。
屋台は、昼間は何もない歩道に、夜の間だけ出現する幻の店だ。何十年もやっている主人は、焼酎1杯の作り方、おでんを皿に採る仕草などすべてに無駄がなく、客のあしらいにもそつがない。一連の流れに様式美さえ感じさせる。夏は汗を流しながらビールを飲み、冬は震えながら熱燗をすする。そして春、秋の気候の良さにホッとしながら、屋台でのひと時を楽しむ。
もちろん屋台に行かなくても、その存在さえ知らなくても何ら人生に影響はない。しかし、筆者が屋台にはまってしまったのは“一期一会”の極地だと思うからだろう。屋台に来る客を、音楽に例えてみると良く分かる。
常連客は大抵が「演歌」で、過去に紆余曲折のあった人生を抱えている、寂しがり屋が多い。そんな中に、純粋無垢の「唱歌」や人生頑張り屋の「マーチ」、生まれも育ちも良い「クラシック」などの一見客が混じり、色々な音楽が聞こえてくる。そのハーモニーが実におもしろい。もちろん不協和音になる時もあるが、それはそれで良い。ちなみに筆者は「ジャズ」かな。
うまくオチたところで、「お勘定~!」
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博多の屋台風景 |
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