商業施設新聞
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No.360

チョコレート克服宣言!


今村 香里

2012/4/3

 食べ物の好き嫌いは、多かれ少なかれ誰にでもあると思う。私は少ない方で、固形のチーズ、ピーマンが苦手だった。「だった」ということは、現在は食べられるのである。幼い頃はまったく食べられず、給食で苦戦したものだ。しかし大人になった今では、チーズはお酒のおつまみに欠かせず、ピーマンは野菜炒めを自ら調理するくらい両方とも大好きだ。大人になれば大概のものは食べられるようになるものである。
 このように嫌いな食べ物がほとんどない私にとって唯一、口にできないものがある。実はチョコレートだ。これを聞いて驚く人が多いのは慣れっこである。これを読んでいるかもしれないチョコレート業界の方々、大変申し訳ございません。私はチョコレートが食べられません……。

 初めてチョコレートを食べたのは3歳の時で、オーソドックスな固形のチョコレートをおばあちゃんにもらって食べた。しかし、口に広がるドロッとした濃厚な甘みが3歳の私に衝撃を与えた。その衝撃は「おいしい!」ではなく、「何だこの食べ物は!」というものだった。今でもはっきり覚えている。ここから私の人生とチョコレートとの戦いが始まったのである。

 チョコレートが苦手になり、世間は「子供と女性は甘いものが大好き」というイメージを持っていることが分かった。もちろん、チョコレートは「甘いもの」の代表的存在だ。幼い頃はチョコレートを大人からよく貰ったが、良かれと思ってチョコをくれているので断れなかったし、断ると驚かれるのでいちいち面倒だった。
 この対策としては、「後で食べる」と言ってポケットにしまっていた。また、手作りのお菓子やケーキを持ってきてくれていた近所のおばさんには、私が甘いもの全般、特にチョコレートが苦手であることは未だに秘密にしてある。

 大人になってからも何かと大変である。バレンタインデーでも、好きな男性にチョコレートは作らないし、渡さない。会社の男性陣にも配らない。こうして乗り切っていたが、最近では逆チョコや友チョコが流行っているせいか、女友達から何個か貰った(私の友達よ!ごめんなさい、食べていません!)。
 しかし、こうもいっていられない状況になってきた。

 私は、商業施設新聞の記者であり、商業施設などに出店する魅力的な店舗を取材することが仕事だ。中でも、消費行動は男性より女性の方が活発で、女性向けのテナントは多い。もちろん、スイーツを専門に取り扱う店舗も多いのだ。
 取材先でも「当店の自慢のケーキをどうぞ」と出していただくことや、お土産に頂く機会も増えた。スイーツなら幅が広いので何とか対処できるのだが、先日はいよいよチョコレート専門店の取材に行くこととなった。「試食を進められたらどうしよう」という不安を抱きながら取材に行った。

 取材先は、3月8日にオープンしたばかりの「カファレル なんばパークス店」。同店は、カファレル本社(イタリア)が提供する、イタリアの高級チョコレートを扱う専門店だ。現在は「神戸北野本店」「神戸旧居留地店」「東京駅グランスタ店」を展開している。
 「なんばパークス店」では、バラ売りで1個150円から購入でき、高級チョコレート店の敷居を低くした、カジュアルな店舗となった。チョコレートのほかにも、焼き菓子や生菓子を約60アイテム揃えている。ターゲット層は20~40代の女性で、客単価は平均で2000円と本店よりもやや安くなっている。
 ディスプレイは「カーニバルパーティ」をコンセプトに、カファレルのキャラクターである「てんとう虫」や発祥地・トリノをイメージさせる「きのこ」のオブジェを設置して、華やかで可愛らしい店内を演出している。店舗デザインや陳列は、オーバルリンク(東京都港区)が担当しており、本当に素敵なディスプレイだった。
カファレルの可愛いチョコレート
カファレルの可愛いチョコレート

 試食を進められることはなかったが、チョコレートが苦手な私でも買いたくなるような可愛いチョコレートがたくさん並んでいた。カファレルのチョコレートは、へーゼルナッツとカカオを混ぜ込んだ「ジャンドゥーヤ」というチョコレートで、ユニークで香り高く、とろけるような舌触りだそうだ。
 記事を書いている際、カファレルのHP上で、チョコレートの説明を何度も読んでいると、「食べてみたい」「私でも食べられるかも」という気分になってきたのである。これを機会に、チョコレートを克服してみても良いのではないかと自分自身に問いかけてみた。

 チョコレートを食べられるようになる、むしろ好きになった方が良いに決まっている!
 大げさかもしれないが、仕事の幅もスキルもアップすることは間違いないと思う!
 今までのチョコレートに関してのエピソードは、どれもストレスが溜まる話ばかりではないか!
 チョコレートを克服して、世間の女性たちの気持ちが理解できると、人間としても成長するのではないか!

 まあ、そんなに力むことなく、まずはチョコレートを買うことから始めよう(笑)
 友達や身近な人にプレゼントしてみることから始めよう(笑)

 そんなことを考えていた時に、ふと頭に浮かんだことがある。3歳の頃に味わったチョコレートのドロッとした食感は、「とろけるような」というのが正しい表現方法だったんだなぁ~と。

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