商業施設新聞
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No.355

大切にしたい“風習”


大塚 岳史

2012/2/21

 ここ数年、ひそかに心の中で喝采を送っている風習がある。節分に食べると縁起が良いとされる「恵方巻」だ。そうは言いながらも、実は節分の日に恵方巻を食したことは今までにない。今年こそはと思っていたのだが、豆まきはしても、恵方巻まで頭が回らなかった。来年こそは……。

 私は2月生まれである。それ故にというわけでもないが、2月は好きな月である。一般的には寒い、暗いというイメージから、あまり好きな人はいないかもしれない。しかし個人的には、寒さというよりも身が引き締まる雰囲気が良い。寒さが少しずつやわらぎ、気づかない程度に日暮れ時が伸びていく感じも好きだ。また、雪山をこよなく愛する人も多いだろう。そう言えば、スキー好きの後輩は2月になるといつも寒い、寒いを連発するも、週末になると「ずーっと冬ならいいのに」と都合の良いことを口にしている。
 2月のイベントと言えば、王道はやはりバレンタインデーか。しかし、これは女性にもてなかった身としては暗いイメージなのだが、世の多くの人々にとっては素敵なイベントなのだろう、きっと。個人的には、節分の豆まきに風情を感じるが、小売業界にとって「豆 vs チョコレート」では売り上げが比べ物にならない。

 バレンタインデーなんて……という思いを胸に秘めてきた身としては、恵方巻の風習が全国的に広がったことに思わず拍手を贈ってしまう。僻み根性は別にして、節分とともに家族で過ごすという風習が新しい形で全国的に根づいたことがとてもうれしい。和の食材にスポットが当たることも好ましい。また、小売業にとっても、恵方巻の売り上げは2月の業績に大きく寄与するまで拡大している。
 押し付けでも、儀式的でもなく、家族で楽しめるイベントが増えることはとても良いことだと思う。まだ全国には、魅力ある風習がたくさんあることだろう。みんなで楽しみながら消費につなげ、元気な日本を取り戻せたら、この上ないことである。

 さて、3月には次女が1歳の誕生日を迎える。長女が1歳の誕生日を迎えた時、私の実家では風呂敷に一升餅を包んで子供に背負わせた。日を置いたゴールデンウイークには、妻の実家でモノサシ、金、はさみなど将来の職業を暗示させるモノを選ばせた。この両方をセットで行う場合もあるようだ。これも、素敵な風習だと思う。もちろん、子供がケガをしないように細心の注意は払う。
 妻の実家が遠いため、両家がみんな集まることはできないが、それぞれの実家で家族が集まり、みんなが笑顔になるのは楽しいものだ。すでに、長女の時のことを思い出しながら、次女が奮闘するであろう様子についてみんなでワイワイやっている。
長女が1歳の時に背負った紅白の一升餅
長女が1歳の時に背負った紅白の一升餅

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