商業施設新聞
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No.349

初めての徳島


今村 香里

2012/1/10

 (株)イズミ(広島市南区)は、2011年11月24日に「ゆめタウン徳島」をオープンした。オープンの3日前に行われた記者発表会に参加したが、開始時間が9時30分のため、私が住む京都からは始発で電車やバスを利用しても間に合わない。前日の日曜日に京都を出発することとなった。

 徳島へは、高速バスを利用するのが最も速い。電車では岡山県、香川県を経由しなければならないため、遠回りの上、交通費も高くなる。
 11月下旬の京都といえば、紅葉シーズンだ。京都の街は観光客で賑わっている。この日の京都駅は本当に人が多かった。「なぜこんな日に……」と不機嫌になりながらも、多くの観光客にまぎれてバスを待っていると、同時刻の徳島行きのバスが2台きたことに驚いた。「どれだけ徳島の人、京都に来てんねん」と心の中で思わずツッコミを入れてしまったほどだ。
 夕方の最終便だったので、これから徳島に帰宅する人が多い様子だった。観光シーズンということもあるが、それだけ徳島へ行く交通手段が限られているということを実感した。この日、徳島に着いたのは21時頃。所要時間は約3時間だった。

 記者発表会当日は、早朝にホテルを出て、ゆめタウン徳島へと向かった。場所は板野郡藍住町奥野字東中須で、藍住IC付近で徳島北環状線沿い北側に位置する。徳島駅から吉成駅まで電車を利用し、そこからタクシーで向かう。
 イズミは、初の徳島県進出で、四国地区では4店目となる。164の専門店が揃い、このうち四国初出店は21店、徳島初出店は88店(前述の21店を含む)、そのほか地元企業29店が出店している。施設の規模は、敷地約8万1200m²に4階建て延べ12万500m²で、店舗面積は4万m²になる。1~2階が店舗、3~4階と屋上は駐車場。駐車場は3100台(平面1000台、立体2100台)、駐輪場は400台を完備した。総事業費は125億円に上る。若いファミリー層を軸に3世代をターゲットとしており、来客数は年間1100万人を目指している。

 1階は、イズミ直営の食品売り場、レストラン街、銘店街、ドラッグストア、化粧品、雑貨などを集積。レストラン街では、四国初出店の「串家物語」や「倉敷ハンバーグ」など13店が出店している。全長250mのモールゾーンには、四国初出店の「ロリーズファーム エト」、徳島初出店の「ザラ」「アズール バイ マウジー」などが並ぶ。フロア奥には核店舗の1つ「スーパースポーツゼビオ」が出店している。
 2階は、キッズをテーマに展開し、子供服やゲームセンターなどを配置。モールゾーンでは、「紀伊国屋」「ユニクロ」を核に、直営のファッションコーナーやファッション・雑貨店が出店している。また640席のフードコートでは、徳島初出店の「サブウェイ」など12店が出店、キッズ専用席も設けた。
 さらに、こども専用トイレ(2~6歳対応)のほか、オストメイトや目の不自由な人に対応した多目的トイレを完備。「赤ちゃんの部屋」では、個室の授乳室やオムツの取り替え台をそれぞれ5つ設置し、ミルク用のお湯も用意している。そのほか、休憩用のソファや従業員が身に付けるエプロンの色は、地元藍住のテーマカラーである藍色を使用した。

 交通環境の整備では、隣接する徳島北環状線の反対車線からでも入場できるようにオーバーブリッジを建設した。さらに立体駐車場では、出入りがスムーズに行えるスロープを3カ所に設置。一般道路の渋滞を緩和させるため、敷地内に500台が停滞できるスペースも確保している。
 ゆめタウン徳島のオープンにあたっては、交通環境の面で渋滞が予測されていた。タクシーの運転手に話を聞いても、「電車のアクセスが良くないので車を利用する。徳島市内からだと、吉野川を渡らなければならないため、3つしかない橋で渋滞する」という。特に、週末は今でも混雑していることだろう。

 ゆめタウン徳島は、「ストップ ザ 阪神」を掲げており、大阪市や神戸市、またその手前の香川県に流出していた徳島県の顧客を取り戻したいとしている。
 今回の取材で感じたことは、徳島県初出店の多さにも驚いたが、それだけ徳島県には全国で人気の専門店が少ないということだ。私は香川県出身だが、徳島県の中心部を訪れたのは今回が初めてだった。香川県高松市に比べて大差はないと想像していたが、同じ四国でも少し格差があるような気がした。
 ゆめタウン徳島の出店をきっかけに、もっと多くの企業が進出し、徳島の商圏が賑わうことを期待したい。
11年11月にオープンした「ゆめタウン徳島」
11年11月にオープンした「ゆめタウン徳島」

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