米韓自由貿易協定(米韓FTA)の批准同意案が11月22日、韓国国会を通過した。これにより、韓国の経済は今後、大きな変革を迎える。全産業のうち、サービス業や流通、放送・通信分野は相対的に米国資本による開放度が高くなる。一方、家電や部品・素材分野では大きな影響はないものの、長期的には輸出に対する効果が増大すると評価される。
米韓FTAが2012年1月に発効されると、サービス業、小売流通業は今以上に激しい競争を迎えることが予想される。また、中小放送チャンネル使用事業者(PP)やコンテンツ製作者などは淘汰の危機に遭遇する。海外PPが韓国に投資法人を開設したのは、PPに100%投じると直接投資効果が出せるからだ。
一方、半導体・ディスプレイなど、コア部品業界の場合、直接的な影響はなさそうだ。半導体は、すでに1990年代半ばから両国間の無関税品目として継続しており、モニターおよびノートブックPC用LCDパネルもITA(情報技術協定)によって無関税となっている。
今回の米韓FTAによって、韓国とFTAを締結し発効した国は45カ国となった。韓国初のFTAは、04年4月に発効した韓国・チリFTAだ。両国間の貿易規模は、発効前に18億5000万米ドルだったものが、10年には71億7000万米ドルと3倍強まで増加している。
また、有力な次期FTAの対象国として中国が浮上している。中国側がFTA締結に積極的である反面、韓国は慎重な姿勢を見せていることから、協商開始時期は未知数だ。
しかし、米韓FTAに対する韓国の世論は必ずしも肯定的ではない。全国民的な合意なしで、多数与党が一方的に国会で可決したため、今後は様々な市民団体の抗議や抵抗といった“いばらの道”が予測されている。とりわけ、市民団体は「利益均衡からみると、今回の米韓FTAは韓国に原則的に不利であり、結果もそうなるだろう」と主張している。
4年4カ月の長期にわたる協議の期間中、米国の攻撃的な開放拡大の要求に対して、韓国は終始守りの姿勢だったという指摘もある。また、投資協定についても反ダンピング関税の制限など、韓国側の要求は適当に流された反面、ISD(投資家-国家訴訟制度)など米国側の要求は協定書に反映された。「不平等なFTA協定だ」という批判が絶えない理由でもある。
韓国政府は、このような反対の世論を払拭するために、自動車部品、電機・電子、繊維など韓国が強い産業分野は輸出の増加に向け努力し、精密機械、化粧品、製薬、サービスなど被害が予想される産業は先制的な対策を講じようとしている。つまり、米韓FTAを通じて、さらなる経済発展に拍車をかけ、世界トップ10の経済大国を目指して力強く推進していくことになる。
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米韓FTAの批准書に署名する李 明博(イ・ミョンバク)大統領 |
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