商業施設新聞
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No.592

「スペースワールド」12月末で閉園


松山 悟

2017/1/31

17年末に閉園する「スペースワールド」
17年末に閉園する「スペースワールド」
 今年12月末で、北九州市にあるテーマパーク「スペースワールド」が閉園する。開園は今から約27年前、1990年4月だった。筆者は「スペースワールド」の立地決定のニュースを書いた記憶が鮮明に残っている。と言うのも、筆者は「スペースワールド」の背後地、枝光地区の高台で育ったからである。

 家から新日本製鉄(現新日鉄住金)八幡製鉄所の構内を眺めることができた。幼い頃、高い煙突が並び、灰色やオレンジ色、それこそ7色の煙がモクモクと上がっていた。

 最新工場が戸畑製鉄所構内にできて、八幡製鉄所東田地区での製造が終わり、しばらくの間、工場建屋だけが残っていた。そこに「スペースワールド」ができたのである。

 敷地面積約24万m²に事業費約300億円を投じ、宇宙飛行士の擬似訓練施設や大型アトラクションが整備された。オリジナルのキャラクターも誕生し、毎日歌や踊りのステージが展開されていた。開業4年目には、当時世界最大の傾斜角度60度というジェットコースター「流星ライナータイタン」を導入、人気が沸騰した。入場者のピークは97年の216万人だった。

 筆者は2人の子供のために、年間フリーパスを買ってやっていた時代がある。ある年の大晦日、「スペースワールド」でカウントダウンし、朝方まで寒さを知らない子供たちにつきあって、遊具に乗っていたこともあった。真夜中の遊園地は、おとぎの国に来ているようであった。

 しかし、やがて長いデフレ時代に入り、断続的に行われる大型設備投資に見合うだけの集客が集められなくなる。先細り感は感じていた。

 2005年5月、運営会社の親会社である新日鉄が民事再生法の適用を申請し、同年7月、加森観光(札幌市)に営業譲渡。それから約11年後の16年12月に、前触れもなく17年末の閉園が発表された。

 「スペースワールド」のある場所は、臨海の工場群と内陸側の市街地の間に位置する、いわば開発用地の一等地。跡地の高度化利用は可能である。インテリジェントビル群、タワーマンション、それとも病院や高齢者福祉施設が立ち並ぶのだろうか。いずれにしても収益性が第一に考えられるだろう。

 しかし、遊園地や動物園がなくなる街は、子供の夢を一つ奪うような気がする。筆者は遊園地とは縁のない歳になったが、やはり寂しい。寂寥感でいっぱいだ。
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