商業施設新聞
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No.344

景観料


高橋 直也

2011/11/29

 生まれて初めて某有名焼肉レストランに行ってきた。会計は1人7600円(チャージ料別)。酒は1杯だけなので、なかなかに高級だったと言えよう。男2人で行ったのに、窓際のカウンターに並んで座らされたのはちょっと恥ずかしかったが、味は値段に違わぬ旨さで、店員もとても親切だった。しかし、満足度は中くらいだった。なぜなら景観がとてもアレなのである。

 店の責任ではないが、目の前に家電量販店のどでかい看板がそびえ立っていたのだ。網から肉(霜降り)を箸で取るたびに、家電量販店の電飾付き看板がいちいち目に入る。とても美味しく、店員も良い人なのに、窓の外をみるとトホホなので、イマイチ気分が乗らないのだ。
 貧乏人が、がんばって高い金を払っているという事情もあり、わざわざ「電気屋の看板に向けて椅子を並べるな!」とクレームを付けたくなり、それもあってか高い値段に納得がいかなくなるのである。

 対して、北海道のJR札幌駅に直結するJRタワーにある日航札幌のスパ「スカイリゾートスパ」はとても景観が良い。ここは大人1人2800円と若干高いが、満足度は高い施設と聞く。札幌で働いていたことがあり、よく仕事帰りに行ったが、地上約100mの高層階にあり、風呂から札幌市街地の夜景が見えた。価格は通常の銭湯の7~8倍はするが、個人的にも大満足だった。

 何が言いたいかというと、“サービス店における景観の重要性”がやや低いのではないかということである。良い場所は空きが無いのかもしれないが、景観が悪いなら無理に見せない工夫などが欲しい。
 都内のある駅に隣接する某カフェは、窓に面したカウンターが駅ホームの目の前にあり、座ると見世物になった気分になる。頻繁に使う駅なので、「コーヒーでも1杯飲もうか」と思うこともあるのだが、どうも気が引ける。採光のため?お客さんが入っているかどうか、外からも分かるようにするため?
 理由は色々あるだろうが、なぜ、わざわざ見世物にするような窓をつけたのか、とても不思議である。

 じゃあ、どうすれば良いのかというと実は簡単。高い金を払ってでも、景観のとても良い店に行けばいいのである。焼肉屋で7600円(チャージ料別)を払ったといっても、もっと高い店はいくらでもある。そこらのシティホテルの屋上に行けば、焼肉屋にかかわらず、様々な店が2万~3万円の予算で素晴らしい夜景とともに美味しい料理を提供してくれる。
 中途半端な高級さで、ブーブーと文句を言うのが悪いのだ。しかし、これは消費者側の選択の問題であり、やはりサービスを提供する側にも、食事を楽しめる景観づくりには配慮して欲しいものだ。
こういう景色を見ながらなら、どんな食事でもきっと満足
こういう景色を見ながらなら、どんな食事でもきっと満足

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