商業施設新聞
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No.339

“優勝劣敗”のラーメン業界の今後


登坂 嘉和

2011/10/25

 Noodle WORLD実行委員会は、10月19日から3日間の日程で横浜パシフィコにおいて「Noodle WORLD 2011」を開催した。第6回ラーメン産業展と第2回うどん・そば産業展を中心に、6つの展示会が同時開催されたものだが、飲食店経営者を中心に多くの来場者で会場は賑わい、日本人の麺類に対する愛着が再認識された。

 ラーメン業界は、国内に約1万店、市場規模が約1兆円と言われ、近年は新規出店と閉店、廃業が拮抗しているものの、リーマン・ショック以降は、他業態に比べてラーメン店は増加傾向にあるという。今回の展示会では、外食産業界における低価格化の影響もあり、ラーメンチェーン本部は新規出店が低迷し、フランチャイズ募集はほとんど見受けられなかった。その一方で、経営支援や開業アドバイスといった形で既存の事業者にアプローチする出展者が目立った。
 入口の正面に出展した大和製作所は、「大和麺学校」を開設し麺類店の経営者を育成している。同社代表の藤井 薫氏は、全国を飛び回って自家製麺ビジネスの実演・試食・勉強・相談会を開催しており、麺類店起業家の強い味方となっている。
 松野軍団は、東京都と神奈川県において、家系「松壱家」と「ゴル麺」を直営で9店展開しており、ラーメン店への業態転換や開業支援を積極化している。また、鳥取県米子市に本部を置き、つけ麺「笑福」を運営する富國も、同様に開業支援を行っており、年内に神奈川県、埼玉県ほかで新店4店をオープンするという。

 一方、食材メーカーは例年と変わらず積極的な出展が続く。特に製麺メーカーが多数出展しており、ラーメン業界に賭ける意気込みは衰えない。ただ、近年は小麦の国際相場が上昇傾向にあり、国内大手の日清製粉と日本製粉は6月に続いて、12月20日の出荷分から小麦価格を1~2%程度引き上げる予定だ。
 こうした中、日清製粉グループは、ラーメンからうどん用小麦粉、パスタ、天ぷら粉までをトータルで出品した。また、北海道を発祥の地とする西山製麺は、老舗サッポロラーメンの味を提案、業務用生麺を中心に一般向けラーメンを販売する一方で、開業・繁盛店支援などを行う。
 このほか、そば粉や鰹節、煮干、だしの素、醤油、調味料、さらに焼豚、メンマ、餃子などの食材メーカー、厨房・調理機器や丼・器、店舗内装、装飾などを含め、全体では総勢267社のメーカー・企業が出展した。
Noodle WORLD 2011の会場風景
Noodle WORLD 2011の会場風景

 国内ラーメン業界の状況は、ハイデイ日高が首都圏の駅前立地で260店以上を出店し、好調に業績を伸ばしている。餃子の王将も西日本から東日本へ進出し、500店を超える店舗を展開、仙台から北海道へ進出するなど拡大路線を歩んでいる。
 一方、幸楽苑は、東北地区から関西圏へ出店エリアを広げるものの、ロードサイド型の店舗が中心で、初期投資の回収に苦戦している。山岡家は130店超を展開するも、急速な店舗展開で既存店が不振となり、その立て直しを優先している。西日本を中心に約152店を展開するワイエスフードも、店舗閉鎖による売り上げ減少に悩む。

 こうした優勝劣敗の状況をみると、ひとつの傾向として「人口密度の高い都市部への集中出店やSCのフードコート内へ進出する企業の業績が好調」ということが浮かんでくる。海外に650店以上を展開する味千ラーメンに続けと、ハチバンや博多一風堂、長崎ちゃんぽんリンガーハット、幸楽苑などがアジアへ進出する。
 高齢者のラーメン離れを考えると、人口が急増し、急速に都市化が進む、アジアへのシフトが今後の成長のカギとなるようだ。

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