本紙11月8日号(第2167号)において、東海旅客鉄道(株)(JR東海)のグループ会社も含めた商業施設の特集企画を掲載した。当特集は近年、商業施設の整備や活性化に注力するJR東海グループ全体の取り組みをまとめたもので、取材に協力していただいた同社には改めて感謝と御礼を申し上げたい。
さて、11月8日号が発刊される4日前、JR名古屋駅においてある内覧会が開かれた。それは2017年4月に全面開業する「JRゲートタワー」のオフィス関連施設の内覧会であった。当日は15階のオフィスロビー、屋上庭園、オフィスサービス店舗、16階の貸会議室などを内覧。どのフロアも、どの設備も細部まで気配りがなされており、内覧後には思わず感嘆の声が漏れた。
オフィス関連施設の特徴としては、(1)外観デザイン、(2)屋上庭園、(3)オフィスサービス店舗、(4)貸会議室の4つが挙げられる。外観デザインは隣接する「JRセントラルタワーズ」と同じ、米国の設計事務所Kohn Pedersen Fox Associates PCを起用。JRセントラルタワーズとの調和を図り、白を基調色としつつ、縦横のラインを強調するデザインを採用している。外から一見すると、別の会社のビルのように感じてしまうが、商業施設、スカイストリート、シャトルエレベーターが外観でも分かるようなデザインのため、JRセントラルタワーズとの連続性がそこかしこに伝わってくる。
屋上庭園も立派だ。約700m²の敷地に、サザンカ、コブシ、ハナミズキ、ヤマボウシ、シダレザクラ、サルスベリ、カエデと7種類、約30本の高木を配置。6月を除く1~12月まで花暦が設定されており、同フロアを通り過ぎる人々は季節の移ろいを感じることができる。しかも、この屋上庭園は、一般の来館客はもちろんのこと、JRゲートタワーで働くオフィスワーカーも中に入ることはできない。唯一、テラスが面するレストランの利用客だけがこの屋上庭園を独占することができるという。羨ましい限りだ。
オフィスサービス店舗も充実している。15階に出店したのは、CVSの「ベルマート キヨスク」、調剤・ドラッグストアの「アマノ」、旅行会社の「JR東海ツアーズ」、宅配受付の「西濃運輸」の計4店。中でも、ベルマート キヨスクでは、名駅地区でランチを食べることができない、いわゆる“ランチ難民”の増加を防ぐため、店頭に「出来立て弁当」のコーナーを設置した。この弁当は、JRセントラルタワーズに出店している「ジェイアール名古屋タカシマヤ」で人気の商品で、ベルマートとしては初めての取り組みとなる。さらに、店内のベーカリーコーナーでは、地元で人気のベーカリーショップから日替わりでこだわりのパンを提供する。同店では、働く男性に弁当を、働く女性にパンを勧めたい考えで、夜はシャンパンや生ハム、チーズなどもラインアップする方針だ。話を聞いているだけで、利用したいという気持ちが強くなる。
そして、極めつけは貸会議室「JRゲートタワーカンファレンス」だ。16階に13室の会議室を設置しており、最大で200人程度を収容することが可能。同会議室はJRセントラルタワーズやJRゲートタワーの入居者だけでなく、一般の方にも貸し出しており、運営はジェイアール東海ホテルズが担当するため、ケータリングサービスの実施も検討している。席と席の間に余裕があり、広さも十分なため、セミナーなどを行う会場としては申し分ないと思う。
筆者の職場は、「谷町四丁目駅」と「堺筋本町駅」の中間に位置し、駅から歩いて7~8分の距離にある、オフィスビルの最上階だ。最上階と言っても、付近はビルやマンションが立ち並び、決して眺めの良い場所とは言えない。飲食店は個店が多く、カフェのチェーン店もすぐそばにないという立地だ。それでも11年、この場所で仕事を続けてこられたのは、この場所に、このビルに、愛着を持っているからだろう。羨ましい限りのJRゲートタワーであるが、同ビルで働く人々も、そのような愛着を持ってもらえるようになってほしいと願う。