電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第201回

ロボットは「癒し系お姉様」の時代に突入するかもしれない!!


~AIを活用すれば空気も心も読める女性の優しさ実現~

2016/9/23

イベント関連展示会で見たお姉さまロボット
イベント関連展示会で見たお姉さまロボット
 あるイベント関連の会場においての出来事である。筆者は様々なブースを興味深く拝見していたが、とあるブースでとてもお美しい女性に話しかけられたのだ。何てきれいな人なんだろう、と見つめていたら恐ろしいことに気が付いた。その女性の顔には毛穴がなかったのだ。すなわち、癒し系お姉さまロボットと自分は話していたのであった!!ああああ。

 IoT時代を迎えて、AI(人工知能)、センサー、ロボットなどが主役になると言われ始め、とりわけロボット産業は日本企業が強いだけに多くの関心が集まっている。ロボット全体の中で日本勢が占める世界シェアは実に60%、しかもロボット生産の55%は日本国内という状況なのだ。アベノミクス成長戦略の重要な柱であるだけに、日本のロボット企業に対する期待は高まるばかりである。

 今後は株式市場においても、安川電機、ファナック、川崎重工業、ダイヘン、デンソーなどロボット関連企業にかなりの評価が与えられることだろう。かつて「アイボ」を作り家庭向けペットロボットの先駆けとなったソニーも再びロボットの開発・生産に参入することを決めている。

 それにしても、ソフトバンクのPepperを個人で持っている人にはほとんど出会ったことがない。最近は銀行で見かけることが多いけれど、孫ちゃんが一気量産という大号令を出さないことには一般には出回らないかもしれない。

 さて、前記の癒し系お姉さまロボットであるが、これが大量生産されればその使い道は拡大していくに違いない。ひとり暮らしの老人のところに行き、「おじいちゃん、大丈夫」「今、珈琲入れてあげるから」「ねえ、昔の恋人のことをお話して」などと話しかけられ、慰められたら、その老人は声を放って泣くかもしれない。そしてまた、外食チェーン系のレストランに行けば、にっこりと微笑みかけ(どこかのファミレスのように顔がこわばりながら作り笑いするのではなく)、「こちらのお席にどうぞ」と優しく案内してくれるに違いない。

 IoT時代が急加速していけば、人間のIQを超えるAIはいくらでも出てくるだろう。人間のIQはせいぜいが100、天才といわれる人も200くらいであるが、AIに使われる将来のコンピューターは1万ぐらいになると言われているのだ。あな、おそろしやである。

 すでに2018年にはコンピューターが人類の知性を超えるとの予測もあり、とんでもない時代の到来は見えてきているのだ。つまりは、人間の大脳には約300億個の脳細胞があるが、ムーアの法則に基づいて計算すれば(理論値的には)18年にはワンチップに入るトランジスタの数が300億個を超えてくることになる。

 そうなれば、「ちゃんと空気」も読めて、「アイコンタクトの意味」にも気が付いて女性の優しさを前面に出してくるウルトラ癒し系ロボットの登場および普及にも十分に応えられるのだ。考えようによっては、これはすばらしいことなのだ。何しろ、飯を食わせなくてよい。酒も飲ませなくてよい。電力さえ与えれば24時間、365日フル稼働。お金も要求しない。しかも、「男たちが望むであろうすべてのこと」をいつも優しくやってくれるのかもしれない。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。30年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『半導体業界ハンドブック』、『素材は国家なり』(長谷川慶太郎との共著)、『ニッポンの環境エネルギー力』(以上、東洋経済新報 社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)など19冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長 企画委員長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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