商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.572

中四国地盤のSM、フジという企業


若山 智令

2016/9/6

 先日、記者会の国内流通視察セミナーで中四国にスーパーマーケット(SM)、ショッピングセンター(SC)など約100店を展開する(株)フジに協力していただき、同社が運営する店舗の取材、尾崎英雄社長との懇談の場を設けてもらった。そこで同社の歴史を知り、会社への理解がさらに深まるなど非常に参考になったセミナーであった。

 フジは1967年9月の設立だが、その前身となる十和(株)(現/(株)アスティ(4℃ホールディングス))は、1950年に設立された。その後、67年2月に十和がアメリカの流通事情を視察に行き、この視察を通じて十和が小売業への進出を決断してからおよそ半年後の67年9月にフジが創業。なお、1号店の「宇和島店」(愛媛県宇和島市)は、創業から1カ月後の同年10月にオープンしたという。

 宇和島店の開業に、フジ初代社長の尾山謙造氏はこんな言葉を残している。「電気シャッターが音もなく上がり始め、ガラス戸を開け、どうぞおはいり下さいと頭を下げたとたん、行列はドア巾(はば)一杯にドクドクと店に吸い込まれ始めた。いつまでたっても止まらない。店一杯にふくらんだ所で一時入店お断り。外には数え切れぬ群集、これだけの人がどこにいたのかという程に感じた。胸にこみ上げるのは嬉しさよりも涙であった。」これがフジの原点であり、同氏の遺文を集録した『商いとは売ることなり』(1975年発刊)は、変わることのない「商いの原点」としている。

 宇和島店が軌道に乗り始めると、68年3月には2号店の「湊町店」(愛媛県松山市)を開業。宇和島店同様に、開店と同時に店内がすぐいっぱいになるほどの盛況だったそうだ。その後、81年9月に広島県1号店の「フジショッピングスクエア高陽店」(広島市)、84年11月に高知県1号店の「フジ中村店」(四万十市)、87年4月に山口県1号店の「フジショッピングスクエア岩国店」(岩国市)というように未進出エリアにも積極的に店舗展開を進め、店舗網を拡大していった。また、99年7月には香川県1号店の「フジグラン丸亀」(丸亀市)、2001年11月に徳島県1号店の「フジグラン北島」(板野郡北島町)をオープンし、四国全県を網羅した。

中四国最大級の広域型SC「エミフルMASAKI」
中四国最大級の広域型SC「エミフルMASAKI」
 そして同社はSMだけにとどまらず、08年4月に中四国最大級の広域型SC「エミフルMASAKI」(愛媛県松前町)を開業。16年5月1日に来場者1億人を突破するまでに成長した。

 現在同社はエミフルMASAKI(広域型SC)、フジグラン(コミュニティSC)、フジ(近隣型SCおよびSM)、エフ・マルシェ(産直)、パルティ・フジ(多目的SC)などといった多様な業態を有し、中四国で約100店を展開している。そんなフジは、17年9月に創業50周年を迎える。この50周年を跨ぐ中期経営計画のテーマは「成長し続ける企業へ」~50周年、さらに未来へ~とし、これからも地域、利用者の期待に応え続け、進化していく。
サイト内検索