ユニロボット(株)(東京都渋谷区幡ヶ谷3-80-10、Tel.03-6276-6107)は、世界初の個性を学習するパートナーロボット「unibo(ユニボ)」の開発を進める企業。利用者1人ずつの個性を認識して、その人に合った会話や意思決定支援を行う画期的なロボットで現在、今冬に予定されている市場投入に向けた準備を進めている。今回、代表取締役の酒井拓氏に話を伺った。
―― 開発中のユニボについて教えて下さい。
酒井 家庭で使用する高さ32cmの据え置き型のコミュニケーションロボットで、見る、聞く、話すといった機能をベースに、利用者の趣味・嗜好・生活習慣を学習しながら成長していくことが大きな特徴だ。日々の会話から利用者が求めている潜在的なニーズをユニボが感じ取り、その状況に適した言葉や情報を提供してくれるほか、カメラ撮影やビデオ通話、メールの読み上げ、スケジュール管理など、日々の生活をサポートする機能も搭載している。
―― 搭載している電子デバイス部品について。
酒井 顔の部分にタッチセンサー搭載の7インチディスプレーを使用し、首に2軸モーター、左右の腕に1軸モーターを搭載している。そのほかマイクやカメラ、LED、赤外線リモコンなども搭載している。こういった電子デバイスの選定を含め、ユニボのハードウエア開発については(株)FORMULA(東京都渋谷区)の協力を得ており、現在中国・深センにある協力工場で生産準備を整えている。
―― ソフトウエアの面は。
酒井 ユニボはクラウド上の人工知能(AI)を活用することでコミュニケーションなどを行うのだが、そのAIやクラウドシステムに加え、自然言語処理や感情解析といったソフトウエアの大部分を自社開発している。会話については日本語のほか、英語対応も進めており、将来的には中国語や韓国語にも対応させていきたい。そのほか、レコメンドエンジンも自社開発をしており、近い将来、ユニボでショッピングの決済や予約代行まで行えるようなシステムを構築していきたいと考えている。
―― 家庭向け以外に展開するお考えは。
酒井 ホテルや病院など業務用途での活用も想定している。そのための施策の1つとして、2015年11月に(株)アルメックス(東京都港区)と業務提携した。ホテルや総合病院向けの自動精算機システムで業界トップクラスのシェアを持つ企業で、ホテル・病院向けのユニボはアルメックスとの連携を中心に展開していく予定だ。そのほか、ご関心いただける事業会社や自治体などと連携し、オフィス、店頭、施設などにユニボを展開していきたい。
―― 用途拡大に向けて機能の拡充が重要になってきそうですね。
酒井 そのとおりだ。そこで当社ではユニボのSDK(ソフトウエア開発キット)を公開していく予定で、SDK自体も小学生でも操作ができる非常に簡易な仕様となっている。そのため専門家だけでなく、様々な人がユニボを活用した新しいサービスを創出することが可能だ。また、「ユニボストア」という開発されたアプリケーションソフトなどを自由にアップロードできる環境も整備する予定で、様々な企業が開発されたアプリを活用することで、利用者はユニボの機能を自由に拡張できる。
―― そのほか開発面でお考えのことは。
酒井 スマートフォン(スマホ)向けの「ユニボアプリ」を開発中だ。ユニボの核となるソフトウエアを活用し、外出先でも家の中にあるユニボとビデオ通話やチャットなどで連携できるシステムで、いつでもユニボ利用者とコミュニケーションを取ることができる。加えて、スマートホームの普及を加速させるIoTデバイス/サービスとの連携や見守り機能の実装も目指している。
―― 今後のスケジュールは。
酒井 16年12月末から17年1月のあいだをめどに、アプリ開発のデベロッパー向けや業務用途のユニボを1000台先行発売する予定だ。そして17年3月から一般向けの先行販売を開始する計画を立てている。一般向けの販売価格は本体が9万9800円(税別)、クラウド使用料として月額5000円(同)をそれぞれ予定している。
―― 今後の方針を。
酒井 まずはユニボの市場投入に向けた取り組みに全力を挙げていき、先に述べたような機能の拡張もしっかりと実現していきたい。また、当社としてはユニボをオープンプラットフォームとして活用し、様々な企業と連携しながら新しいサービスを作り上げていきたいと思っており、ユニボを使った新しいサービスの提案、協業提案などがあればぜひお声がけいただきたい。そのなかでユニボを日本のみならず、将来的にはアジアにも展開していきたいと考えており、IPO(新規公開株)についても20年ごろまで実現できるように事業スピードを加速させていきたいと思う。
(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2016年9月1日号13面 掲載)