商業施設新聞
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No.328

沖縄の国道58号線沿いに注目


松山 悟

2011/8/2

 現在弊紙で連載中の「沖縄~商業・リゾート開発動向2011~」の取材で、沖縄を訪れたのは台風5号が朝鮮半島に去り、容赦ない真夏の太陽が再び姿を現した6月末から7月初めにかけてであった。湿度が高くないから、蒸し暑くはないものの、肌に針刺すような暑さであり、本土の暑さとは一桁違う暑さである。県庁に行くと、職員はかりゆしを着ていて、沖縄に来た実感が湧く。ワイシャツ姿の自分が、“よそもの”だとすぐに分かるだろう。

 さて、沖縄県は2011年6月30日に10年度の観光収入を発表。前年度比6.7%増の4033億2000万円と2年ぶりの増加で、08年度以来、3年ぶりに前年度実績を上回った。リーマンショックの影響を払拭した感がある。
 しかし一方で、県は同日、11年度の「ビジットおきなわ計画」での入域観光客数を、東日本大震災の発生により、目標数値650万人を600万人に下方修正しており、景気上昇のプラス要因とマイナス要因が交錯している。

 沖縄本島の開発動向で現在、最も動いているのは、那覇市から名護市までを結ぶ国道58号線(本島の東シナ海側を南北に走る幹線)沿い。那覇市から北上する形で、宜野湾市~北谷町~恩納村~名護市までに計画が集中している。
 特に、那覇市内の再開発案件は大規模であり魅力的だ。宜野湾市の西海岸都市機能用地の商業開発は、店舗面積1万m²を超える計画となっている。北谷町ではウォーターフロント計画が進み、恩納村ではタイガービーチ跡にリゾートホテルが着工し、また同村にはメーンキャンパスの広さが72万m²ある「沖縄科学技術大学院大学」(略称・OIST)が12年度開校に向け、急ピッチで整備が進んでおり、周辺には、商業施設を誘致する方針だ。
7月8日に“まちびらき”した安里地区第一種市街地再開発事業「さいおんスクエア」(6月29日撮影)
7月8日に“まちびらき”した安里地区第一種市街地再開発事業「さいおんスクエア」(6月29日撮影)
北谷町美浜の商業施設「デポアイランド」。将来的に順次拡張へ
北谷町美浜の商業施設「デポアイランド」。将来的に順次拡張へ

 一方、離島をみると、石垣島では13年3月の新空港開港に合わせて、ターミナルビル建設が始まったところで、開港に合わせたリゾート開発が期待できる。また、宮古島では、コテージ群のリゾート開発が複数出てきているほか、36室のホテル建設が始まっており、目が離せない状況だ。
 沖縄県は、1972年の復帰以来、10年単位で更新している沖縄振興計画と沖縄振興特別措置法が11年度末で期限を迎える。12年度からは新計画となり、次の10年間の進路を決めるものとなるが、県としては「医療ツーリズム」の事業化、カジノを中核施設とした「沖縄統合リゾートモデル」構想の推進などでリーディング産業の観光産業をさらに伸ばす。そして、国に沖縄振興予算を一括交付金にするように求め、実現すれば、沖縄の特殊性に配慮した県独自の配分を行い、官民一体となった沖縄振興を目指す考えだ。

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