半導体製造装置用ヒーター部品などを手がけるワッティー(株)(東京都品川区西五反田7-18-2、Tel.03-3779-1001)は、2016年4月1日付で菅波希衣子氏が社長に就任、新体制に移行した。半導体製造装置用ヒーター部品を主軸に、自動車用センサーでも事業拡大を図っていくなかで、菅波新社長に今後の会社のあり方や事業戦略について伺った。
―― 社長に就任し、自身の役割は変わりましたか。
菅波 これまでは経理担当役員として決済書類などに目を通す機会が多かったですが、今後はこの判断が妥当かどうか、決断する立場になってきたので、より市場の動きなどをこれまで以上に把握する必要が出てきました。責任の大きさは随分と変わってきましたね。
―― まずは今後の会社の目指すべきビジョンを教えて下さい。
菅波 まず社員に求めることは「健康」であること、次にお客様だけでなく、社内外で評価される企業であることです。当社は企業活動を通じて、喜びや感動を供給する「デライトプロバイダー」であることをモットーとしており、そのために日ごろから、お客様にとって何が感動なのか、何が喜びなのか、といった自分たちの感受性を高めていく必要があると思います。3つ目は子供が父親、母親が勤めている会社に入りたい、と思ってもらえるような企業になることです。
―― 事業の進捗状況は。
菅波 まずまず計画どおりに進んでいるという状況です。半導体製造装置用ヒーター部品では、特需的な製品の受注もあり、当社にとってはプラスに働いています。量産案件向けで一部先送りのものもありますが、比較的堅調に推移しています。今後はこの先送りになっているものに関しても、取りこぼさないようにしていきたいと思っています。
―― ヒーター部品は半導体分野が主力ですが、他分野への応用展開は。
菅波 ヒーターは半導体に限らず、様々な分野に使われています。当社は以前から、半導体分野以外の業界にもヒーター部品も納めており、事業の多角化も徐々に進んでいます。ただ、最近はお客様自身が業態転換を進めていることもあり、当社としても思ってもみないところから仕事をいただく機会も増えてきました。今後、当社としてもユニット供給などを含め、裾野を広げる努力は引き続き進めていきたいと思っています。
―― 最近では、ALD装置を中心とした装置ビジネスも展開しています。
菅波 量産用装置はあくまでもお客様の領域なので、当社として試作・開発向けの装置の販売に特化するかたちで展開しています。装置の販売だけでなく、ALDの受託成膜事業も始めています。また、新しい試みという意味では、AlN(窒化アルミ)を用いたヒーター部品も展開しており、引き合いも増えています。
―― センサー事業については。
菅波 おかげさまでセンサー事業は8期連続で増収を達成しています。現在、独自の静電容量に対応した自動車・建機向けのオイルレベルセンサーなどを展開しており、着実に実績を積み重ねています。今後、センサー事業とヒーター部品事業が主力2事業と呼べるような規模に育てていければと思っています。
(本紙2016年7月14日号9面 掲載)
(聞き手・副編集長 稲葉雅巳)