電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第174回

ビーワイディージャパン(株) 執行役員 花田晋作氏


EVバスの日本展開を本格化
エネ事業の総合力を強化

2016/6/10

ビーワイディージャパン(株) 執行役員 花田晋作氏
 ビーワイディージャパン(株)(BYDジャパン、横浜市神奈川区鶴屋町2-20-3、Tel.045-290-6550)は、エネルギー、自動車、IT製品などを手がける中国の大手メーカーであるBYDグループの日本法人として2005年に設立された。エネルギー関連製品のほか、近年は電気バス(EVバス)やリチウムイオン電池(LiB)搭載タイプのフォークリフトなども市場に投入し、日本における事業展開の幅を拡大させている。今回、執行役員の花田晋作氏に話を聞いた。

―― BYDジャパンの概要から。
 花田 05年に中国BYDグループの日本法人として設立され、液晶デバイスやバッテリーなどの部材を日系メーカー向けに販売する業務を開始した。そのなかで11年からは自社の蓄電システムやソーラーパネル製品などの販売を開始するとともに、現在、製品のOEM供給も行っている。そして新たな取り組みとして15年からはEVバスの納入も開始したほか、16年3月からLiB搭載タイプの電動フォークリフトを市場に投入した。

―― BYDグループのEVバスについて。
 花田 BYDグループとして10年からEVバスの販売を始め、現在49カ国201都市で走行している。15年はグループ全体で8500台を販売し、これが16年は1万8000台まで拡大する見通しだ。地域別では中国での需要が急速に増加しており、大都市圏では一度に数千台の注文が入るということも珍しくない。例えば、深セン市では16~17年の2カ年で市内を走行するバスをすべてEVバスにする計画が進んでいるほどだ。

―― 日本市場での展開は。
国内での2次架装の様子
国内での2次架装の様子
 花田 15年2月に京都市の京都急行バスにEVバスを納車した。これは中国の自動車メーカーとして日本市場に進出した初の事例であった。日本市場で展開するにあたり、中国で生産した車両をそのまま納入しているのではなく、車両に搭載されている消耗品の一部は日本製を使用し、配線などの2次架装はすべて日本国内の協力工場で行うことで、より高い品質を実現している。

―― BYDでは電気自動車(EV)なども扱っておられますが、日本での展開などは。
 花田 確かにBYDグループではEVやプラグインハイブリッド車といった乗用車も販売しているが、これらを日本市場で展開していくことは考えていない。まず、そもそもの前提として日本でのEVバスの展開も「電動車両の販売」という考え方ではなく、環境エネルギー事業におけるソリューションの1つと捉えているからだ。
 つまり、BYDジャパンとしてソーラーパネルや蓄電システムをラインアップしており、そのエネルギーを活用するものとしてEVバスがある。また、EVバスは災害時などには大型電源システムとしても活用することができ、環境対策をはじめ社会貢献・地域貢献という要素もEVバスには含まれている。

―― EVバスの開発方針は。
 花田 現在、満充電かつ冷房をフル稼働させた状態で250kmの走行が可能であるが、この走行性能を維持しながら、車両におけるバッテリーの占有面積を低減し燃費を向上させる取り組みが進んでいる。先にも述べたように日本で走行するEVバスの2次架装は日本で行っており、そのなかで採用されている部材は環太平洋地域に展開するEVバスの標準品となっている。

―― 今後の方針を。
 花田 BYDジャパンとしては、従来の事業も継続して注力しながら、引き合いが増えているEVバスやフォークリフトへの対応も強化していく。EVバスについては自社ブランドの展開だけでなく、OEM供給なども含め柔軟に対応していきたい。
 高い品質が求められる日本市場で製品が採用されるということは、グローバルで見たときに非常に大きな意味を持つことから、BYDグループとしても日本を重要な市場と位置づけている。そしてBYDグループならびにBYDジャパンの事業活動をさらに活発化していくためにも、今後、開発・生産・販売などあらゆる面で日本の企業の方と連携していきたいと考えており、新しい提案などがある方はぜひ遠慮なくお声がけいただきたいと思う。

(聞き手・清水聡記者/浮島哲志記者)
(本紙2016年6月9日号2面 掲載)

サイト内検索