ソウル名所の4大門(東大門、南大門、西大門、粛清門)内における再開発が制限されるという。歴史と伝統を守るのが目的だ。だが、都心開発は時代のニーズに任せるべきという反論もあることから、前途は必ずしも明るいとは限らない。
ソウル市は、漢陽(旧ソウル)都城内の都心景観を保存するため、4大門内における大規模な再開発の計画を縮小・制限する代わりに、地区単位の開発計画として管理する。今後、4大門内で再開発する場合、新築建物の高さは90m以下に制限され、最大20~24階を超えるビルは建てられなくなる。従来、ビルの高さ制限は110mだったが寄付金(公共寄与)などの条件によっては、高さの調整ができた。
また、地域別にばらばらであった一般商業地域の容積率も下方調整する。従来、漢陽都城一帯の容積率は600%、新村は700%、清涼里は800%といったように自治体によって異なる建設基準が定められていた。
ソウル市はこれを600%に一元化し、環境にやさしい建物や公益に寄与する場合は最大200%を追加できるようにした。これによって、ソウル都心の大規模な商業・業務複合団地の開発は、事実上難しくなったことから、都心の競争力が弱まるという懸念も指摘されている。
ソウル市が推進する「2025都市環境整備基本計画」によれば、漢陽都城内の歴史・文化区域を含めて、4大門内の110万m²に達する再開発可能な「整備予定区域」指定が解除される。これは既存4大門内に許容されていた整備可能区域(362万m²)のおよそ30%に当たる面積である。なお、整備可能区域に含まれている295カ所のうち、156カ所は開発事業が完了している。
ソウル市側は「都心整備事業は、完全撤去してから業務および商業施設を建てたため、歴史性が消えてしまう問題があった」、「これからは過去のような大型再開発事業は不可能になるだろう」と説明している。一方で、ソウル市が民間領域の活動を過度に制限することへの不満も聞こえているようだ。
行政による開発制限に不満が高まるのは、当たり前かもしれない。歴史的な財産を上手に保存するためには、時代に順応した開発が不可欠だし、開発に対するコンテンツなどは民間の想像力に任せるべきではないかと思う。