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第16回

プレス工業 尾道工場、建機キャビンの生産拠点、マツダのトラックの組立も担当


2016/4/19

 プレス工業(株)(川崎市川崎区塩浜1-1-1、Tel.044-266-2581)は、トラックのフレームやアクスルなどの構造部品や特殊車両の製造などを行っており、売り上げの約77%を大型・小型商用車用部品が占めている。国内5工場のほか、米国、スウェーデン、タイ、中国、インドネシアに工場を所有し、海外展開を進めている。

 尾道工場(広島県尾道市高須町大山田1050)は、同社の国内主力工場の1つだが、他の工場とは違う位置づけにある。「他の4工場は自動車部品がメーンだが、尾道工場は建機キャブの生産、車両組み立てが中心で、部品は5%程度」(角堂博茂代表取締役社長)となっている。

 同工場は1968年稼働。敷地面積は8万9000m²、建物面積は4万3600m²、2015年3月31日現在の従業員数は435人。15年3月期の売り上げは266億円で、建機キャブが62.4%、車両組み立てが33.8%、自動車部品が3.8%となっている。

大竹正美尾道工場長
大竹正美尾道工場長
 建設機械の操縦室にあたる建機キャブに関しては、顧客の海外展開に対応し、海外展開を進めている。「6t以上の建機キャブでは、当社は23%のシェアを有している」(大竹正美尾道工場長)。建機メーカー直属のキャブメーカーが多い中、同社は多くの建機メーカーに納入しており、業界ではユニークな存在となっている。尾道工場での建機キャブの生産は、11年度には3万9998台だったが、15年度は2万6517台にとどまる見込み。現状の生産台数は、損益分岐点に近い水準となっており、台数の落ち込みをカバーして、利益を確保するため自動化投資などでコストダウンを進めてきている。

 建機キャビンに関しては、単に生産受託だけにとどまらない。企画開発から生産準備まで一貫して対応できる体制を構築しており、顧客をサポートするだけでなく提案型のビジネスも展開している。さらには、尾道工場オリジナル製品として「新PKオリジナルキャブ」を開発。「カタログ販売的に建機メーカーに売り込みを図っている」(大竹工場長)。

 キャビンの生産は、まず骨格となる異形鋼管の生産から始まる。異形鋼管の製造ラインは3億円程度を投資して増強中で、ゴールデンウイーク中に2期工事を実施し完了する予定。鋼管の曲げ機を独自開発して内製化しており、今後断面機を更新する。海外工場で使用する異形鋼管もこのラインで生産される。

 外板パネル用の大型プレス機は7台設置されており、搬送はロボットが行う。また、月200台以下のものは金型投資の削減のため汎用機を使用して生産している。アセンブリーは溶接ロボットを使用。認定作業者が断面加工の品質確認を行う。

 塗装が完了したキャビンは、工場2階のラインに搬送され、内装、外装部品を装着する。この部分は自動化が難しいため、ムリ・ムダの削減によるコストダウンを進めている。また、仕様確認のためのチェック工程の自動化を進めており、7割程度の自動化を実現している。

 2階の工程を経たキャビンは再度1階に下ろされ、ガラスを接着する。ガラスへのプライマー、接着剤の塗布はロボットが実施。プライマーは刷毛で、接着剤はガンで塗布するが、1台のロボットが刷毛とガンを使い分ける。最終的な接着は作業者が実施する。完成品は建機メーカーの各工場へと出荷される。

ここからマツダへと納入される
ここからマツダへと納入される
 一方、完成車の組み立ては、マツダのボンゴ・トラックを月400~500台受託生産している。マツダから1台ずつオーダーを受けて生産しており、マツダの1工場という位置づけになっている。工場内でフレームの生産、アッシー、塗装を行い、そのフレームに供給を受けたシャーシ、ボディー、エンジン、トリムなどを取り付けて、最終検査を行いマツダへと出荷する。この作業は自動化が難しいため、熟練工が少人数で担当。作業スペースも60m×60mと省スペースにすることでコストを削減している。マツダのトラックの受託生産は03年からスタート。当初、タイタンを生産していたが、現状はボンゴに切り替わっており、累計生産台数は18万台を超えている。

 同工場では、建機キャブの技術を応用して、オリジナル製品としてバイクガレージを開発し、モーターサイクルショーなどで提案している。ガレージ内に収納したバイクを外から眺められる構造としており、ドゥカティ大阪イーストの店舗に現在展示中。さらに、地震シェルターや火山シェルターなども開発しており、今後の事業化を目指している。

(本紙編集長 植田浩司)

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