東急不動産(株)(東京都港区南青山2-6-21、Tel.03-5414-1099)は、東京都世田谷区でシニア住宅と分譲マンションの複合開発を行う「世田谷中町プロジェクト」を推進している。シニア住宅は251戸、分譲マンションは252戸を設置する大型プロジェクトとなり、東京都の「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」の第1号案件に選定されている。介護事業所、認可保育所も併設し、多世代に住み心地がいい『街』を目指し、2017年春から順次開業する。
同事業の計画地は東京都世田谷区中町5-21のNTT玉川中町社宅跡地で、敷地面積は約1万坪。大規模開発の強みを生かして、居住者専用のシャトルバスを運行する。近くの駅まで送迎するため、シニアにとっては利便性が高い施設となる。15年秋に着工しており、4月上旬にモデルルームなどがある世田谷中町サロンをオープンする。
同事業の特徴は、多世代交流。同社はこれまで高齢者住宅事業を展開しており、その中で、親子それぞれの世帯が近居したくても物件がないなどの課題があった。今回、一般住宅と高齢者住宅を併設することで、同じ街区内に住むことを実現し、介護離職の防止、様々な年代の人が交流する街づくりが期待できる。
高齢者住宅の「グランクレール世田谷中町」の規模はRC造り4階建て延べ1万7723m²。自立型の居室と介護型の居室に分かれており、自立型のシニアレジデンスは176戸、介護型のケアレジデンスは75戸、計251戸を設置する。開業はシニアレジデンスが17年7月、ケアレジデンスは同年10月を予定。
一般住宅の「ブランズシティ世田谷中町」はRC造り地下1階地上4階建て延べ2万4002m²。252戸を設置し、開業(引き渡し)は17年3月および同年9月を予定。
同施設には多世代交流拠点として『コミュニティプラザ』を設置するのも大きな特徴だ。同施設の1階では介護予防体操などのライフサポートプログラムを提供する。また、1~2階には17年4月以降に認可保育園を開設し、高齢者住宅の入居者との交流プログラムも予定する。
1階と3階は介護事業所として「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所」「看護小規模多機能居宅介護事業所」を併設し、シニアが安心して暮らしていけるようにする。
3階はカルチャールームとして茶道教室、音楽教室などを行う。シニアは学ぶ側の生徒だけでなく、教える側の先生にもなることができ、居住者同士の交流を促進する。
同社はこれまでも高齢者住宅において、コミュニティスペースを設置していたが、居住者向けに限られていた。今回は居住者だけでなく地域住民が幅広く利用、交流することを想定して、地域包括型の施設を目指す。
このほか、エリア内で夏祭りなど季節ごとのイベントを開催するほか、敷地内のピザ窯を囲む料理教室など様々なプログラムを提供して住民同士のコミュニティを創出する。
世田谷中町プロジェクトのイメージ
(高齢者住宅と一般住宅が併設する)
今後、一般住宅と高齢者住宅の複合開発の第2弾として横浜市の「十日市場プロジェクト」が決定している。高齢者住宅約200戸、一般住宅約290戸に加え、戸建て住宅を整備する。同施設内には地域住民も利用できる食堂など整備し、より多くの人が利用できる施設とする。
また、複合開発だけでなく、シニア住宅のみの開発も積極的に行っていく計画。複合開発においては広大な敷地が必要になるが、単一施設であれば開発が比較的しやすい。今後、首都圏を中心に整備を進める。
さらに将来的にはリゾート地への進出も検討する。リゾート地の別荘は高齢者が保有することが多く、何らかの事業展開を構想していくという。