電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第160回

ABB ロボティクス事業部事業部長 村松優氏


エレキ向けに双腕ロボの提案強化
15年は用途幅が拡大

2016/3/4

ABB ロボティクス事業部事業部長 村松優氏
 ABB(スイス・チューリッヒ、日本法人=東京都品川区大崎2-1-1、Tel.03-4523-6000)は、世界の約100カ国に13.5万人の従業員を擁する電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニー。産業用ロボットについても世界でトップクラスのシェアを誇る。そこで今回、ロボット関連の取り組みを日本法人のオートメーション・モーション事業本部 ロボティクス事業部で事業部長を務める村松優氏に伺った。

―― 貴社のロボット事業について。
 村松 ABBの産業用ロボットは、堅牢性が高く、過酷な作業環境下でも高い軌跡精度を実現できることなどで定評があり、グローバルで高いシェアを有している。日本法人でも小型から大型の製品まで幅広く販売しており、主なものでは自動車工場で使用される塗装、マテハン、レーザー切断用のロボット、食品工場で使用されるパラレルリンクロボットなどがある。特に塗装ロボットの先端に取りつける塗装機に関しては静岡県島田市に開発・生産拠点を有し、同拠点がABBのグローバルにおける塗装機のメーン拠点という位置づけになっている。

―― 直近の需要動向は。
 村松 2015年はABBのロボティクス事業全体でみると、欧州と中国でシェアを伸ばすことができた。用途別にみると自動車工場向けも堅調であったが、15年は非自動車用途の比率が自動車向けを初めて上回るなど、用途幅が拡大した年といえるだろう。日本市場は自動車工場向けを主力に、近年は食品工場などで使用されるピッキング、パッキング、パレタイジング(PPP)関連ロボットの拡販にも注力しており、その成果が着実にみられた。

―― ロボット製品の生産体制は。
 村松 中国、スウェーデン、米国に生産拠点がある。日本では先に述べたように塗装機の拠点が静岡県島田市にあるほか、日本各地にサービス拠点を有している。また、生産拠点ではないが14年6月に「ロボットアプリケーション・ワークショップ」を東京都多摩市に開設した。
 同施設はロボットならびにその関連システムを常時配置し、エンドユーザーやシステムインテグレーター(SI)と共同で、デモ運転だけでなく、実際のロボットを使用した導入前の検証・改良などを行うことができる。この施設を活用することで実際に導入した際の課題やイメージを明確にすることができ、食品業界など、これまでロボットを導入したことがない企業の方にも当社のロボットの効果を知っていただくことができる。

―― 電機・電子分野向けのロボット製品は。
協働型双腕ロボット「YuMi」
協働型双腕ロボット「YuMi」
 村松 15年に発表した双腕ロボット「YuMi(ユーミィ)」の提案を強化している。安全柵なしで使用できる協働型ロボットで、重さも38kgと大人2人で運ぶことができる小型の製品だ。可搬重量が500gで、繰り返し精度が0.02mmと非常に優れていることから、タブレットPCや携帯電話の組立など、小型部品を用いた作業に適している。動作速度も最大1500mm/sと速く、電機・電子分野で重要になる静電気放電(ESD)対策も施している。

―― 電機・電子分野の組立作業は非常に複雑です。
 村松 そのためにロボットのハンド部分は、通常のグリップタイプだけでなく、カメラやバキュームタイプも用意している。また、導入企業が3Dプリンターなどで独自にハンドを作成し、取り付けていただくことも可能だ。アームも可動域が広く複雑な動きができ、パーツフィーダーもオプションで備えている。加えて、通常の100V電源で動作することから導入しやすく、様々な電子部品・機器の組立に素早く対応できる。

―― 双腕ロボットはプログラミングが複雑になると聞きましたが。
 村松 確かに一般的にはそういう傾向がみられる。しかし、ユーミィはダイレクトティーチにも対応でき、実際にハンド部分を手動で動かし、タブレット端末を利用して直感的なティーチングもできる。また当社では簡易にプログラミングできるソフトウエア開発にも注力している。その1つに「RobotStudio(ロボットスタジオ)」という独自ソフトがある。これはPC上でロボットの動作を3次元でシミュレーションできるもので、そこで作成したプログラムを実際にロボットに再現させることができ、その再現率は99.7%という数字を実現している。これにより生産を中断することなくプログラミング作業が可能となり、作業時間の短縮やSIの負担軽減につながっている。

―― 今後の日本での事業方針を。
 村松 日本には静岡県に塗装機工場があり、塗装ロボットのシステム販売は今後も大きな柱の1つとなる。また、用途別では現在の主力である自動車工場向けが今後も重要な分野であることは間違いない。ただ、それと同時に非自動車向けの展開も重要なテーマであり、そのために食品工場向けのPPP関連ロボットの強化や、電機・電子向けのユーミィの展開をさらに推進していきたい。ユーミィに関しては、その柔軟性の高さから自動車メーカーをはじめティア1、ティア2メーカーなど幅広い分野で展開していければと思っている。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2016年3月3日号1面 掲載)

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