2015年11月17日に開催された(公財)日本看護協会主催の「看護小規模多機能型居宅介護事業者交流会」で、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の実践報告「看護小規模多機能型居宅介護事業の普及に向けた取り組み~東京都新宿区の取り組み~」として、行政の立場から新宿区健康部健康推進課 健康企画・歯科保健担当 副参事の矢澤正人氏が「新宿区における地域包括ケアと看護小規模多機能型居宅介護」を講演した。講演では、新宿区の高齢化の実態から、新宿区の医療資源、在宅療養体制を支える事業などを説明した。
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◆25年に75歳以上の人口は高齢者の約6割に
矢澤氏は冒頭で新宿区の高齢化の実態を2つのグラフで示した。まず東京23区の高齢化率は、一番上から北区が25.1%、足立区と台東区が23.5%、葛飾区が23.4%、荒川区が22.7%と高い数値を示すなか、新宿は23区中17位の19.7%とそこまで高くないことがわかる。しかし、一人暮らし高齢者の割合は33.7%と、高齢化率のグラフとは一転、断トツの1位となる。
また、新宿区の40歳以上の人口推移と将来推計のグラフによると、高齢化率は、00年は16.9%だったが、14年には19.9%まで増加しており、その後も右肩上がりで伸び続け、25年には20.6%まで上昇するという。また、新宿区の高齢者人口の構成比は、00年は75歳以上の割合が42.9%だったのに対し、14年は48.7%に増加しており、17年には50.4%と半分を超え、25年には59.3%と約6割が75歳以上になると予測している。
◆有名病院を抱えるも療養病床はわずか
次に同氏は、新宿区の医療資源を説明した。新宿区の病院は、東京医科大学病院や東京女子医科大学病院、慶應義塾大学病院など有名病院を含む15病院があるという。一般病床数は5903床で、人口10万人あたりの病床数は23区中3位と多いが、これに対し療養病床は45床で最下位である。
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