商業施設新聞
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No.541

伊香保温泉記


若山 智令

2016/1/26

 1月中旬、群馬・伊香保温泉へ旅行に出かけた。ここへ行くのは十数年ぶりだろうか。社会人になって間もないころは、冬になれば毎月のように行っていたのだが、ここ数年はすっかり足が遠のいていた。ワクワク、期待、懐かしさなど様々な想いを胸に、いざ伊香保へ向かった。

 旅館に着いた時間が早かったこともあり、周りを散策することにした。宿のすぐ近くに石段街があるので、そこへ行ってみたのだが、店はほとんどやっておらず、わずかに土産物屋、休憩処が空いている程度だった。「石段街は伊香保のシンボル」というイメージを持っていたので、これには少し驚いた。当然、すれ違う人も少なく、正直あまり元気のない場所になってしまったなという印象を受けた。昨今、日本には多くの外国人が来ていて、こうした温泉地にも少なからずいるのかなと思っていたのだが、行った時間にたまたまいなかっただけなのか、その姿を見ることはできなかった。

伊香保の石段街
伊香保の石段街
 旅館に戻ってからは、自慢のお風呂と食事を堪能した。ただ、若干気になることがあった。確か、ネットで予約したときは「残り部屋数わずか」というメッセージを見た。露天風呂の貸し切りは人数制限があるため、急がなければという思いで宿を取ったのだが、実際、宿泊客は多いとは言えないような感じだった。「残り部屋数わずか」とは何だったのだろうか。食事は写真で確認することができなかったため、期待と不安が混ざっていたが、評価としては「悪くなかった」という程度だろう。自慢の牛しゃぶ~と謳っていたが、ハードルを上げすぎた分、そこまでとは感じなかったし、海のない群馬県でお刺身が一番美味しかったなあという皮肉のような感情も芽生えた。

 翌日は帰り道がてら、観光をしようということになり、ガラス工芸屋、博物館などを見て回った。特に良かったのは、伊香保温泉からも近い「伊香保 おもちゃと人形 自動車博物館」だ。山道に突如現れるこの大きな施設は、日本最大級のアミューズメントパークを謳っており、私設ミュージアムとしては集客国内ナンバーワンであるという。半信半疑で行ってみたのだが、思った以上に充実していて、入館料の1080円は決して高くないと個人的には思う。しかも、随所に面白い仕掛けがあったり、昔懐かしい駄菓子が売っていたり、射的もできたり。老若男女問わず楽しめそうな場所で、伊香保に行って、温泉につかり、心身ともに癒された後は、ぜひとも立ち寄っていただきたいところである。

 この博物館を堪能した後、土産の買い物と、昼食で水沢うどんを食べようと「上州物産館」という大きな土産物屋に行った。メーンの目的は昼食だったのだが、買い物の時間が長引いたのと、食堂が営業時間終了前になぜか閉まっていたという不運にみまわれ、お目当ての水沢うどんを食することができなかった。次回は買い物の時間を圧縮し、きちんと目的を達成したい。

 全体の感想としては、以前の伊香保よりは少し元気がなくなってしまったように思えた。行った時期がよくなかったのか、街に活気がなくなってしまったのかは分からないが、十数年前に見たあの伊香保の街に戻ってほしいと願う。
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