「釜山港へ帰れ」。かの有名な韓国トップ歌手・趙容弼(チョウ・ヨンピル)さんの曲で、伝説的な人気を博した歌の舞台である釜山が新港建設で賑わっている。
韓国第2の都市である釜山は、ソウルからKTX(韓国高速鉄道)で約3時間の距離にある。福岡からは飛行機でわずか1時間程度だ。
1年ぶりに訪れた釜山は、相変わらず釜山おでんや豚肉スープなど、美味しい食べ物が取材の疲れを癒してくれた。特に、情感溢れる食堂のおばさん(ブサンアジメ)たちの釜山なまりは、料理の味わいを深めてくれる。また、韓国最大の魚市場「ザガルチ市場」と韓国を代表するビーチ「海雲台海水浴場」は、国内外から数多くの観光客を集めている。
このような多彩な魅力を持つ釜山が、東アジアにおける国際物流中心港湾(ハブポート)造成に向けた新しい港(釜山新港)の建設を進めている。つまりは、福岡~釜山~北朝鮮~極東ロシアを結ぶ、壮大な物流大動脈の要衝を夢見ているわけだ。
現状の釜山港に対する施設拡大は限界に達しつつあり、新港建設でコンテナ貨物の輸送路拡大による物流費用の低減などを狙う。新港は、釜山市江西区や昌原市鎮海区一帯で開発されており、事業期間は1995年~2020年の25年間というビッグプロジェクトである。
総額16兆6823億ウォン(約1兆7560億円)の事業費は、韓国政府予算7兆4551億ウォン、民間資金9兆2272億ウォンで構成されている。
釜山港の年間貨物処理量は14年1868万TEUを記録し、15年は前年比4.4%増の1950万TEUになる見通しだ。新港が完成する2020年には追加で944万TEUを確保することから、まさに極東アジア最大規模の国際物流中心港に浮上すると期待されている。