電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第161回

2020東京オリンピックの経済効果はトータル150兆円と巨大


~大型イベントの連動、カジノ新設、デジタルサイネージなどに期待~

2015/12/4

 実に56年ぶりの東京オリンピックがやってくる。2020年の開催に向けて準備が進んでおり、かなり「イチャモン」をつける向きも多いが、筆者は素直にこの開催を喜んでいる。何しろ、子供の頃に見たあのオリンピックがもう一度東京にやってくるとは夢にも思わなかったからだ。伝説の女子バレーボール決勝戦を胸を弾ませて観たことも良く覚えている。金メダルの瞬間は恥ずかしながら涙が止まらなかった。

 2020東京オリンピックの来場者数は1000万人、経済効果は30兆~40兆円ともいわれている。しかして、このオリンピックを起爆剤として、大型イベントが10年間にわたって連動すれば、もっとすごいことになる。すでにあの五郎丸ちゃんが活躍するであろうラグビーワールドカップ、そして日本の威信をかけた世界柔道選手権の開催が決まっており、これに続きサッカー女子ワールドカップ、そして名古屋以来の万国博覧会の誘致などに向けた動きが加速していくだろう。こうした連動イベントが10年間続くとすれば、事実上のオリンピックの経済効果は150兆円とも予測されるのだ。安倍首相の提唱するGDP600兆円に対し、その1/4となる巨額が動くことになる。

 ただ一方で、日本のスポーツイベント産業はまだまだ未熟なのだ。スポーツを神聖視する輩が多すぎるため、これをビジネス的視点で捉え、経済効果を訴える人たちが少ない。アメリカのスポーツイベント市場は18兆円に達しているが、これに対し日本はせいぜい4兆円程度と見られ、まだ拡大の余地は充分にある。派手なアトラクション、設営、LED照明、そしてコンパニオンなどの人材ビジネスがスポーツイベント効果によってマーケットも伸ばしていくのだ。

 オリンピック、万博といった大型イベントはこれに連動する商店街活性化、地域活性化、さらには再開発の誘発など多くのウェーブを巻き起こしていく。デジタルサイネージ(電子ディスプレーによる広告看板)の採用も一気に加速していくことは間違いない。IoTの時代がすでに眼前に迫っているというのに、コンビニ、スーパー、外食などの店頭を見れば、まだ紙のポスターが圧倒的。駅、電車内、公共スペースにおいても電子ディスプレーで告知するスペースはほんのわずかだ。折り曲げられる有機EL、そして各種の電子ペーパーの技術もかなりのところまで来ており、アプリが見えれば量産でコストは下がる。デジタルサイネージは初期の普及段階でも1兆~2兆円は読めるというほどの有望市場なのだ。

世界各国にカジノは多くあるが日本にはない(写真は韓国のカジノ)
世界各国にカジノは多くあるが日本にはない
(写真は韓国のカジノ)
 いまだモタモタしているが、多くの外国人客が訪れる東京オリンピックまでにはカジノの整備も急がなければならないだろう。今のところは、東京、大阪、沖縄、北海道、横浜、千葉、長崎、宮崎などがカジノタウン新設に名乗りを上げている。コンベンション、ホテル、ホール、劇場を併設し、日替わりのアトラクション、ミニコンサートなどイベントも開催されるため、これは日本にとって新たなマーケットが創出されるのだと考えてよいだろう。ラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ、ウィン・リゾーツなど外資系企業も参入してくるといわれており、LED照明、無線通信、デジタルサイネージ、貨幣の計算システムなどIT業界にとってもこうした動きは大歓迎なのだ。日本におけるカジノの市場規模は少なくとも2兆円、経済効果は5兆円ともいわれている。

 しかして、カジノ新設は既存のパチンコ/パチスロ市場を脅かすため、エンターテインメント系の電子デバイスを持っている企業には少し顔を曇らせている人たちも多い。何しろ、パチンコはピークで35兆円はあったという巨大市場であり、世界の半導体市場を大きく上回っていたほどなのだ。
 筆者もかなりのパチンコファンであり、カジノに押されて業界が後退していくのは、個人的には望んでいない。あの超爆裂台の「牙狼」にあっては、当たりを取ればブルブルと震えて一気に下りてくる牙狼のお面に性的快感すら覚えてしまう。お面が下りるたびに、「わあ!」「うお!」「すご!」「うれぴい!」などと台から立ち上がって叫んでいたら、先ごろ店員にきつく注意を受けてしまった。

 それはともかく、最近になって外国人観光客はこの数年で600万人から1300万人に急増しており、政府は東京オリンピック開催の2020年までに2000万人にする目標を掲げている。「お・も・て・な・し」を口ずさみながら、みんなで東京オリンピックを迎える日を楽しみにしましょうね!!


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。30年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『半導体業界ハンドブック』、『素材は国家なり』(長谷川慶太郎との共著)、『ニッポンの環境エネルギー力』(以上、東洋経済新報 社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)など19冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長 企画委員長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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