戸田中央医科グループ（TMG）の（医）社団 武蔵野会は9月24日、TMG宗岡中央病院（埼玉県志木市上宗岡5-14-50、Tel.048-472-9211）の新病棟を開設した。同月に行われた内覧会には、地域住民を中心に多くの来場者があり、参加者は熱心に話を聞いていて、同病院に対する期待の高さがうかがえた。

◆「地域に愛され、信頼され、選ばれる病院」へ
　同病院は、志木市から市立市民病院の移譲を受け、2014年4月から外来診療を行ってきた。急性期一般病棟と回復期リハビリテーション病棟を擁する新病棟は、健診部門や人工透析、訪問看護ステーションも備え、救急医療にも24時間365日対応する。TMGが掲げる「愛し愛される病院」の理念をモットーに、地域の利用者に愛され、信頼され、選ばれる病院を目指す。
　新病棟は4階建て延べ5783m²で、病床は100床を設置した。1階は人間ドックなどを実施する健診センターと、外来部門（内、外、整外、小）に分かれている。健診センターにはCTやマンモグラフィ、X線透視診断装置の最新機器を導入し、病気の予防、早期発見、早期治療を実現する。ほかには総合受付、救急室、内視鏡室（2列）、化学療法室（2床）、薬剤科、検査科、放射線科を配置している。これまでは外来診療のみ行ってきたが、新病院のオープンにより、入院も可能となった。
　2階には回復期リハビリテーション病棟（40床）、リハビリテーション室（250m²）、人工透析（13床）を設置。全国でも例の少ないリハ病棟とリハ室を隣接した“病棟一体型リハビリテーション”を導入している。同病院総務課係長の斉藤裕一氏も「このリハビリテーション機能は当病院の大きな特徴だ」とし、病室とリハビリ室を隣接して設置することで、患者が日常生活における動作、感覚をより自然な形で取り戻せるよう、機能回復をサポートする。
　3階は一般病棟（60床）。個室、4人部屋とも広さは十分で、4人部屋でも1人あたり8m²以上を確保している。また、寝たきりでも入浴が可能な機械介助浴も導入している。
　4階は手術室（1室）、厨房、管理エリアを配置。食事は常勤の管理栄養士が献立の作成、患者の栄養指導を行う。また、厨房は人と食材の流れを整理し、衛生区と非衛生区が交差しない導線が作られている。

◆周辺のグループ病院、施設と連携強化
　同病院の周辺には、同じTMGの「新座志木中央総合病院」、「朝霞台中央総合病院」といった300床以上の病院や、「TMG宗岡訪問看護ステーション」など、多くのグループ病院、施設がある。これらグループ施設や地域の医療・福祉施設との連携を図りながら、地域医療のさらなる充実に貢献していく。前述の斉藤氏も「グループのスケールメリットを活かせるのも、当病院の大きな強みだ。こちらの病院では対応しきれないことも、周辺のグループ病院に協力してもらうことで解決できる」と話す。
　なお、新座志木中央総合病院は75床の増床に伴い、敷地内に新病棟の建設を計画している。着工は16年4月、完成は18年3月を予定している。
　同病院は埼玉県第6次地域保健医療計画で救急75床の増床が認められ、それに対応するため新病棟を建設する。現在、一般病床327床を有しており、増床後の総病床数は402床となる。また、新病棟建設に伴って医師や看護師、診療放射線技師などの人的補充といった人材確保に取り組み、高齢化による入院患者の増加に備える。施設規模やフロア構成、詳細なスケジュールなどは設計時に決定するとしている。
　また、朝霞台中央総合病院も東洋大学朝霞キャンパスへの移転を計画しており、今秋にも着工する予定。完成は17年9月を計画している。
　移転先は、朝霞市溝沼字五反田1340-1ほかの東洋大学朝霞キャンパスの総合運動場・総合体育館跡地など約2万8800m²。同大学は敷地を武蔵野会に売却しており、ここに7階建て延べ2万5395m²の新病院を建設する。新病院は現在の326床を120床増床し、17年度内に開院する予定だ。敷地の中央に病院を配置し、北側に来客用駐車場、ロータリー、南側に職員用駐車場、事務棟などを整備する。
　TMGでは、今後も県南西部のグループ病院、施設と連携を図りながら、地域のニーズに応じた良質で安心、安全な医療、介護サービスを提供する。TMG宗岡中央病院は、その役割を担う医療拠点であり、地域医療体制の充実に貢献していく。