(社医)清恵会は、市立堺病院の跡地に清恵会病院(堺市堺区南安井町1-1-1、Tel.072-223-8199)を整備し、10月1日に開院した。規模はSRC造り地下2階地上8階塔屋2階建て延べ4万3286m²。歯科口腔外科を新設するなど、外来部門は総合的に取り揃えており、LDRも2室を用意している。
新病院は、(1)救急医療(CPA・脳血管・循環器・消化器・小児などの領域)、生活習慣病、がんを中心とした診療機能を推進する、(2)患者さんにとって、やさしい医療、わかりやすい診療体制、いつも開かれた場所でありたいと願う、(3)職員が働きやすい、働き甲斐のある、誇りの持てる職場でありたいと考えている、という3つのコンセプトを掲げている。
フロア構成としては、地下1階に厨房を設置し、地上1階には受付・会計、外来部門、検査部門、リハビリテーションセンター、救急医療センターのほか、「カフェ・ド・クリエ 清恵会病院店」を整備。
とりわけ、救急医療センターは全面改修を実施し、夜間・休日救急に対応する診察室(小、内、外、整、脳外)を設けたほか、救急車の出入り口も拡充している。また、外来部門も小児科、脳神経外科、外科、整形外科、形成外科に加え、歯科口腔外科も新設。放射線科には、デジタルX線血管撮影装置「Innova IGS 630」を新規に導入している。これはGEヘルスケア製の血管撮影装置で、同時に2つの方向から撮影できるため、造影剤の量を半分に抑えられ、撮影時間も短縮(脳で30分程度、ステントでは2時間)することが可能。同装置は脳と心臓を対象とし、特に脳梗塞のカテーテル治療に威力を発揮するという。
2階は、計9室とブースを大幅に拡大した内科のほか、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、産婦人科を設置。同病院の北岡治子院長が糖尿病の専門家であるため、北岡院長が講演できるような患者教室も設けている。また、同フロアにもリハビリテーションセンターが設けられているが、1階は外来患者用、2階は入院患者用、と区別している。
3階は手術室、ICU、血液浄化センター、講堂などを配置。手術室は4室から8室まで増え、人工関節手術やスポーツ整形手術にも対応できる。8室のうち、1室はクラス1000のクリーンルームを装備。ICUも14床から15床まで増床している。4階は一般病棟や女性専用病棟のほか、SCUを新設し、LDRも2室を用意している。
SCUでは脳卒中の超急性期患者、例えば脳内出血やクモ膜下出血の患者を対象に治療を施す。LDRに関しては、近年、自宅分娩を希望する患者が増えていることから、患者だけでなく、その家族も過ごせるリビングのような空間を創出している。このLDRには、万が一の場合を想定し、新生児に治療を施す蘇生装置も用意。5階に消化器病センターや一般病棟、6階に整形外科専門別センターや一般病棟、7階には地域包括ケア病棟を配置している。
清恵会と堺市立総合医療センターは、15年7月2日に市立堺病院の土地および建物の引き渡しを終え、同会は7月より改修工事に着手し、9月14日に完了した。規模は敷地1万4096m²、建築6296m²で、SRC造り地下2階地上8階塔屋2階建て延べ4万3286m²。病床数は276床(ICU 15床とSCU 4床を含む)で、診療科目は26科目(総内、循内、糖内、消内、呼内、腎・内、神内、泌内、膠内、消外、血外、心外、乳・内、小、産婦、脳外、整、眼、形、歯、泌、耳、皮、メンタル、リハ、救急)を標榜している。総事業費は非公表。移転前は堺市北区に所在していたが、堺区に移転したため、今後は堺市北区のほか、同市東区、堺区、西区の患者も来院すると予想しており、救急件数は従来の6000件から1.5倍増の9500件程度まで増える見通しだ。なお、今回の改修工事では、7階の一部と8階は手を入れておらず、将来はその部分でも改修工事を行う予定。