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石巻市、急性期・回復期から在宅支援まで担う新市立病院が16年夏に開院


救命センター拡充の石巻赤十字病院と連携、東北医科薬科大サテライト病院の機能も

2015/9/24

建築工事進捗率40%の石巻市立病院
建築工事進捗率40%の石巻市立病院
 宮城県石巻市(病院局、Tel.0225-25-5713)は、東日本大震災の津波被害で機能喪失した市立病院をJR石巻駅前に移転新築中だ。新たな施設は免震構造地上7階建て延べ約2万4000m²で、8月末時点の建築進捗率は40%と順調に進む。地域の救急および回復期の患者を受け入れる市民病院として2016年8月末の開院を予定しており、3次救急医療を担う石巻赤十字病院と連携するとともに、16年4月に医学部が設置される(仮称)東北医科薬科大学附属病院のサテライト病院として教授や医学生を受け入れる。建設事業費として約157億円を投入する。

新病院の完成予想図
新病院の完成予想図
 旧石巻市立病院は、南浜町地区に立地し、津波被害で壊滅的な被害を受けすでに施設は解体された。新病院は、JR石巻駅前に位置する市役所の隣接地で建設されており、16年8月末の開院までは本院に代わって開成仮設診療所や仮設夜間救急センター、仮設雄勝診療所、仮設雄勝歯科診療所、仮設寄磯診療所などが地域医療を担う。

津波で1階部分が壊滅状態になった旧病院(11年4月19日撮影)
津波で1階部分が壊滅状態になった旧病院
(11年4月19日撮影)
 新病院の所在地は石巻市穀町56-28ほか。施設は敷地9393m²に病院棟とマニホールド棟(延べ11m²)、駐車場棟(S造り6階建て延べ7739m²)で構成。病院棟はS・SRC造り免震構造地上7階建て延べ2万3920m²。東日本大震災の津波による浸水エリアであったことから、1階部分は駐車場や霊安・剖検部門を設ける。また、1~2階には中間免震層を導入する。病院機能は2階以上で、1階の歩行者用玄関からエスカレーター、エレベーターを利用して2階のエントランスホールへと誘導する。

 また、救急車専用の出入り口を設け、専用エレベーターで2階の救急、4階の手術室へ直結する動線も確保する。当初、駅北口からJR線をまたいで本館2階に直結する救急専用の跨線橋を整備する計画だったが、高騰する建築費や市街地の交通渋滞緩和などを考慮して計画を変更した。

 このほか2階フロアには外来診察、入院などの手続きを行う医事部門と救急部門、内視鏡部門、放射線部門、生理検査・検体検査部門、健診部門などが設けられる。

 3階は外来および入院患者のリハビリ部門、化学療法部門、栄養部門、管理部門で構成する。このうち管理部門には院長室や各部局室、医局は部長用個室ブース6室を設置する。このほか、3階に設置する講堂、ホワイエは災害時の利用を考慮して医療ガスの配管も行われる。

 4階は手術部門と手術・材料滅菌・SPD部門、ME部門、薬剤部門、主機械室を導入。手術部門はクラス1万クリーン度の手術室3室を設け、手術ホールの前室にスタッフステーションを設置し、看護拠点とする。また、器材準備室や器材展開室は手術室対面に配置する。

 一般病棟は5階と6階の一部に配置、病室の見合いを避けるI型の病棟形態とし、南側中央部に食堂とデイルームを導入、北側のスタッフステーションに近い場所にHCU(重症系病室)を設ける。療養病棟は6階に、緩和ケア病棟は7階に設ける。また7階病棟西側には屋上広場も配置、さらに病院棟最上部にアルミ製ヘリポートも整備する。

 病院機能は、病床数が180床で、市立雄勝病院の療養機能を引き継ぐ。このうち一般病床は140床で、40床×3病棟の計120床が急性期・亜急性期・回復期・在宅支援、緩和ケア1病棟20床。療養病床は1病棟40床となる。診療科目は内科、外科、整形外科、放射線診断科、麻酔科、リハビリテーション科の6科。部門構成は外来、病棟、中央診療、薬剤、医療技術、医療支援、管理、供給、その他となる。

 主な検査機器は、CT、MRI、血管造影検査機器、X線2台、X線テレビ2台などで、医療機器の導入費用は約20億円。

 設計は久米設計、施工は竹中工務店・橋本店・遠藤興業共同企業体が担当。工期は16年6月末で、その後、医療機器などの搬入・設置、試験運用を経て同年8月末の開院を予定している。

 宮城県は、13年度の第6次地域医療計画で7圏域であった医療圏を4圏域に再編、石巻・登米・気仙沼の旧医療圏が1つとなった。これら3圏域は石巻市の北部で南三陸地域に位置しており、三陸海岸と山間部で各市町村は分断されている。今後、三陸自動車道の延伸により、登米、志津川、本吉、気仙沼へとつながることで高速道路を利用した救急医療の受け入れ態勢が向上することを見据えている。10月初旬には石巻赤十字病院の救命救急センター北棟が機能を拡充して稼働し、同病院と接続する三陸自動車道石巻女川ICが供用開始する。

 石巻市は14年3月に石巻赤十字病院の本館と北棟の間の敷地に市立夜間急患センターを再建することで基本協定を締結しており、16年秋に運用を開始する。市立病院では2次救急医療を担うとともに回復期の患者を受け入れることで、役割分担、機能連携をさらに強める方針である。

 一方、16年4月には東北医科薬科大学医学部が開学して、1学年100人の学生が入学する。石巻市立病院では、医学生が3年生となる18年度をめどにサテライト病院としての受け入れ体制を整備する。これに合わせて病棟稼働率も18年度にはフル稼働とする計画だ。同市では地域総括ケアシステムにおいて、同市立病院を在宅医療の拠点病院に位置づけており、これら本院の業務や訪問看護を担う看護師の確保が今後の課題となっている。
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