電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第134回

(株)ジェイデバイス 代表取締役社長 仲谷善文氏


年間売上高1000億円強に
車載関連PKGを増強

2015/8/21

(株)ジェイデバイス 代表取締役社長 仲谷善文氏
 国内で最大手のOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly & Test)企業である(株)ジェイデバイスは、東芝をはじめ富士通、ルネサス エレクトロニクスの日系IDM大手の後工程拠点を相次いで取得し、事業拡大を果たしてきた。年間売り上げ規模は1000億円強。今後、OSAT世界No.2の米アムコーの連結対象になる可能性もあるが、国内事業は従来のビジネスを踏襲、車載向けを基盤に事業意欲を見せる仲谷善文社長に、足元の事業環境や今後の事業展望を伺った。

―― 1~6月の半期実績と通期見通しを。
 仲谷 半期は、ほぼ想定どおりの売り上げで推移した。年間では前年比微増の1000億円強の売上高を見込む。車載ならびに産業用途が総じて堅調に推移した。民生も据え置きゲーム機向けに強い需要があった。

―― 車載向けの事業が拡大しています。
 仲谷 年間売上高比率は、半期終わった段階で50%に達しており、着実に成長している。車載は、カーナビゲーションなどのインフォテインメントをはじめ、ABS(アンチロック・ブレーキシステム)やエンジン周りの、いわゆる「走る」「曲がる」「止まる」といった重要・保安部品向け、最近の先進運転支援システム(ADAS)向けなどのECUに搭載される半導体パッケージ・テストを手がける。足元ではADAS関連向けを中心に画像などの新製品用途の需要が強い。

―― 主なパッケージ製品の構成は。
 仲谷 数量ではQFPやQFNをはじめSSOPなどの汎用パッケージが多いが、PBGA/FBGAといったBGAなどのエリアアレイ型パッケージも多岐にわたる。BGAは依然、全体の10%(数量ベース)程度。また、車載製品の比率が多いこともあり、Cuワイヤーの比率も全体の30%にとどまっている。
 半導体製品でいえばAPをはじめマイコン、ASIC、アナログIC、パワー向けに注力している。

―― 生産拠点数が2桁以上に上っています。
 仲谷 常に最適生産を考えて運営している。効率化を考えて生産ラインを見直している。例えば、北上地区(旧アムコー岩手)の製品は、現在、臼杵を中心とした拠点に生産ラインを集約している。北上でしか作れないCCD(ラインセンサー)などのラインは残す。これによりコスト競争力を磨く。また、旧ジェイデバイスセミコンダクタも15年4月に吸収合併した。

―― 設備投資の考え方について。
 仲谷 年間売上高の1割を充てるというのが基本戦略だ。ただし、15年は少しそれを上回るかもしれない。現在は、熊本の拠点を強化しており、ルネサス エレクトロニクス子会社のルネサスセミコンダクタ シンガポールの製造設備を16年2月末までをめどに移管中だ。熊本は車載向けのマイコンが主体だが、移管が終了すれば現在の1.5倍に生産数量が拡大する。PLP(パネル・レベル・パッケージ)関連の投資も14年に実行した。金属板を使った放熱特性に優れたパッケージで高信頼性が要求されるアプリケーションに最適だ。量産が決定すれば関連投資を実施する。

―― アムコーの連結対象に組み込まれる予定があります。国内の事業展開でなにか影響がありますか。
 仲谷 現在、アムコーの当社への出資比率は66%に上っている。16年3月末ごろをめどに最大80%まで引き上げるオプションを持っている。予定では16年春までにアムコーの連結対象企業となる可能性があるが、当社は従来どおり、車載向けなど、高信頼性を求める国内顧客の拠点として事業展開を加速する。

―― 中長期事業戦略への影響は。
 仲谷 当社単独で20年までに年間2000億円の売上高を目指すという旗はまだ下ろしていない。その場合、海外売上高の拡大が必須となるがその芽が出つつある。アムコーと協働で米・テンピ(アリゾナ州)ならびにフランスに営業拠点を展開済みだ。徐々に欧州の顧客からパワー関連などの受注が始まっている。早急に海外顧客の拡大を目指したい。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年8月20日号5面 掲載)

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